レクサスLC専用生産ラインで量産とは違う新たな試みを見た
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:トヨタ自動車
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:トヨタ自動車
組み立てが終わった車両は艤装検査ブースに入る。ここはガラス張りで、床下にまでLED照明を配置することで、ボディ表面やパーツ取り付け部のわずかなひずみ、ゆがみまでもしっかり浮かび上がらせる。音や振動、開閉部分の作動感などがここではチェックされて、高い品質の車両が送り出されることとなる。
現在、組み立てラインには150名、検査ラインには18名のスタッフが働いている。2シフトの生産体制とは言え、これだけ手作りなだけに2シフトでも生産台数はマックスで1日当たり49台でしかない。いわゆる自動車工場の常識とはかけ離れた、手作りに近い感覚。これを見たら、おそらく誰もがLCを手に入れたくなってしまうに違いない。
とは言え、気になったところが無いわけではない。特に作業をされる方のエルゴノミクスには、まだ改善の余地もありそう。ルーフの組付け以外にロボットによるサポートが無いのは、作業のしやすさを考えても、あるいはクオリティ管理の容易さからしても一考の余地はあるだろう。また、ライン上で作業しやすいように車体が上下したり、あるいはシャシー下面が見やすいように回転したりといった、それこそ先に名を挙げたような最新鋭の工場で見られる設備も投入されていない。
実際、現地でもその質問はしたのだが、それに対して工場スタッフの方は率直に、作業の容易性は今後の課題だと話してくれた。たとえば、しゃがんだり立ったりの繰り返しは、疲労に繋がる。今後は高齢者、女性にもラインでますます活躍してもらわなければならないとなると尚のこと、この作業のしやすさというのは大きな課題だ。
それは、もっとも重要なクオリティを守り続けるためにも必要なことである。「人の手で作る工場であるということも大事にしたい」というチーフエンジニアの言葉には大賛成。それは、それだけで大きな価値となる。しかし人に頼り過ぎてはいけない、とも言うべきだろう。ハイテクのサポートによって人間の、まさに職人技を活かすというのが理想的なかたちのはずである。更に言えば……厳しい技能認定を受けたTAKUMIには、相応のサラリーが払われるというかたちができればいい。あらゆる意味で憧れの仕事になるように…。
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