ポルシェ マカンに加わった最後のエンジンモデル「マカンT」に早くも試乗! これは単なるマーケティングの産物なのか?
掲載 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office 79
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ポルシェは「911」、「718」シリーズに続いてミッドサイズSUVの「マカン」にも“Tモデル”を追加した。マカンの4番のモデルは標準モデルと共通の4気筒を搭載、これに独自の標準装備がおごられている。南仏ニース郊外に広がるチュリニ峠を中心に開催された試乗会からインプレッションをお届けしよう。
チュリニ峠と言えばラリー・モンテカルロのスペシャルステージとして有名だが、果たして「マカンT」はそこに相応しいモデルなのだろうか?
Tモデルとは、端的に言えば4気筒のスポーツモデルである。2リッターの排気量や最高出力(264馬力)/最大トルク(400Nm)は変わらず、標準装備のスポーツクロノパッケージによって0-100km/h加速が6.2秒、最高速度が232km/hというのもマカンの標準モデルと変わらない。
一方、前述のスポーツクロノパッケージに加えて、スタンダードのスチールコイルにPASM(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメントシステム)が標準装備され、同時に標準モデルよりも15mm低いシャーシとハードセッティングのフロントスタビライザーが組み込まれている。
さらにこれまでS専用だったダークチタンカラーの20インチ軽合金ホイールもおごられている。外観はフロントにダークグレーのグリル、スポーツデザインのドアミラー、Tモデル専用サイドブレード、ルーフスポイラーやグロスブラックにコーティングされた4本出しマフラーなどで差別化されている。
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内装はヘッドレストにポルシェワッペンがエンボス加工された8ウェイのアジャスタブルスポーツシート、スポーツクロノパッケージのストップウォッチ、ヒーター付きのGTスポーツステアリングホイールなどのTモデル専用の装備品が満載だ。
オプションでエアサス、21インチホイール、LEDマトリックスヘッドライト、メタリックカラーなどが用意されている。
ホテル駐車場から一般道路へ乗り出してすぐに分かったのはフロントの軽さだった。「マカンS」のV6エンジンよりも59kgも軽い4気筒ゆえに ステアリングを操作した時のノーズの動きが鋭く、望んだ方向へスパッと入って行くフィーリングがある。
やがてアップダウンに富んだ山道を走り抜けチュリニ峠に入る。クルマ2台がようやくすれ違える狭い道路で全長4.72×幅1.92m、空車重量1.9トンのミッドサイズSUVはそのサイズと重量を忘れたかのように軽快かつ敏捷に走る。
後輪駆動キャラクターのPTM(ポルシェ・トラクション・マネージメント)はタイトなコーナーでスロットルを踏み込むとややオーバーステア気味にノーズを内側に向けるが、総じてコントローラブルで安全かつスポーティに駆け抜けることができる。もちろん下り坂では絶妙なコントロールを可能にするブレーキと十分以上のトルクを発生させるスロットルのお陰でちょっとしたラリードライバー気取りでドリフトを楽しむことも出来た。
マカンTは心配していたマーケティングの産物ではなかった。ポルシェのミッドサイズSUVに加わったTモデルはまさにスポーツに相応しいキャラクターをもっていたのである。このモデルこそ内燃機関搭載の最後のマカンとなるわけで、このイベントに参加したクリスチャン・グラーフ率いる開発チームは明日からは電動マカンの開発へと向かう。
マカンのファイナルエディションとも言えるマカンTの日本での価格は840万円となっている。
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