エンジンは死なない。再生CNGで排出量をマイナスに下げるアウディの野望
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:アウディ ジャパン
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:アウディ ジャパン
A4 g-tronに搭載されるガソリン燃料は25L、天然ガスは19kgだ。この2種類の燃料を使って80Km/hぐらいで走ると950Kmの航続距離となる。この距離は魅力的だし、CO2排出量はガソリン使用時に136g/Km、天然ガス使用時に109g/Km(欧州混合モード)となる。しかも、天然ガスの正体はメタンガス(CH4)なので石油由来とは別のプロセスで合成することが可能だ。
実は、アウディがCNG車にこだわる理由はここにある。アウディがこだわってきたのは、家畜の糞や汚泥から作るバイオメタンと、自然エネルギーから作る合成メタンなのだ。特に後者に関しては、再生エネルギーの太陽光や風力発電で水(H2O)電気分解して水素(H)を作り、工場などから排出される二酸化炭素(CO2)と反応させると合成メタンが作れる。日本ではパワー・トゥ・ガス(PtG)と呼ばれるシステムを、アウディのノウハウを参考にしながら日立造船が実証実験を行っている。
アウディの戦略では、電気と水素と合成メタンを供給できる再生可能なエネルギー・チェーンに、「e-tron(電気自動車)」と「h-tron(水素燃料電池車、2020年代前半に市販化)」と「g-tron(メタン)」の3つのパワートレーンが利用できる。しかもCO2を再利用するとCO2排出量はマイナス80%となる。まるで夢のような話だが、北ドイツにあるアウディの実証プラントがすでに稼働している。再生可能なエネルギーから作られたメタンは100Km走行で4ユーロ以下の料金となっている。再生可能な電力よりも安いメリットがある。
実際の走行性能は2L TFSIと全く同じ感覚で走ることができる。再生可能なエネルギーが利用できれば、内燃エンジンは持続可能なパワー・プラントとなるのである。アウディは2025年以降に再生可能なエネルギー(電気・水素・メタン)を本格的に拡大する計画なのだ。
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