1シリーズ国際試乗会 新型が実現した事は…
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:BMWジャパン
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今回もっとも強く、これを初代1シリーズで実現したかったのだろうと感じたのが、その乗り味だ。ひと言でいえば、FRの良さが存分に発揮されているのだ。
そもそも1シリーズは、激戦区のコンパクトカー市場に唯一FRレイアウトで勝負を挑むモデル。それはBMWのFRへのこだわりと、プレミアムブランドとしてFRであることを付加価値にコンパクトカー市場へ勝負を挑もうと考えた結果だろう。初代1シリーズでも、そのメリットはハンドリングの素直さやスポーティドライブの気持ち良さとして具現化されていた。一般的にも、そこが評価されていたともいえる。
そして、FRのメリットには乗り心地の良さも挙げられる。リアセクションにドライブ機構があるためFFモデルよりも重量バランスがリア寄りになり、リアが安定して接地。しなやかさを生み出すため、ギャップでFF車にありがちなクルマごと跳ね上げられる特性が抑えられる。同格のFF車と後席を乗り比べれば、そのメリットは一目瞭然だ。だからこそ高級車はFRレイアウトを採用するケースが多いわけだ。
ただ、初代1シリーズは乗り心地のメリットを出せていなかった。重量配分も50:50で適正化されていたのにだ…。その理由は、安全性を重視してBMWが採用を続けるランフラットタイヤにある。ノーマルタイヤよりも硬く、どうしても乗り心地に硬さが出る。これがFRの乗り心地のメリットを相殺して、結果としてランフラットを採用しているのに、通常レベルの乗り心地を実現しているのが凄いとしか表現できなかった。
だが新型は違う。ランフラットタイヤが柔軟性に富む第3世代へと進化したことで、それにあわせて足回りやシャーシも設計。結果として、FRのメリットである、ハンドリングの良さと乗り心地の良さを高次元で両立できたのだ。
同条件で直接比較したわけではないので断言こそできないが、わざわざコストを掛けて採用するFRのメリットが存分に発揮された新型1シリーズの乗り味は、ライバルを圧倒している感覚がある。この“出来過ぎ”とも感じる商品力を持つ新型1シリーズは、予想だと11月頃からデリバリーされる。一刻も早く日本の交通環境で試乗してみたい。
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