超硬派のコルベットZ06に試乗。659ps/881Nmのモンスター級エンジン
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
最後に補足的に述べておくが、トラックモードは腕に覚えのある人でない限り、一般道では使わないほうがいい。スポーツモードでも電子制御はかなりドライバー任せになるが、トラックモードではそのほとんどのコントロールがドライバーに委ねられ、イメージとしては車両姿勢が破綻していく勢いを穏やかにしてくれる程度。
前後荷重が整い、4つのタイヤを自然に使える状態にあるクルマは、カーブでハンドルを切れば絶妙なバランスで曲がってくれる。その状態から軽くアクセルを踏めばリア荷重、アクセルを戻せばフロント荷重が増し、曲がり方が明確に変化する。このようにハンドルに頼ることなく、アクセル操作による微細な荷重の変化で曲がる量を意図的に変えていくくらいの運転意識がないと、トラックモードは使いこなせない。いや、別の言い方をするとレーシングカーのようにバランスされたクルマは使いこなせないといったほうがよい。
しかし、その高バランスのクルマを使いこなせたときの気持ち良さは歓喜のレベル。クルマがエンジントルク変動で捻れそうな加速力を発揮させても、フロントタイヤには必要最低限の荷重は残っておりハンドル操舵が的確に効く。リアタイヤが滑りそうになったときに、少しアクセルを踏んでリア荷重を増せば滑りは防げたり、滑っているタイヤを早期に回復させたりもできる。
ボディとサスペンション自体の剛性も高く、タイヤの接地面がいかなるときも変化せず、ベタッと路面を捕まえている感覚があり、RRレイアウトのポルシェのトラクション特性にも似た要素も感じた。何はともあれ、クルマの性能に圧倒されっぱなしの試乗だった。
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