全方位で進化した「N-BOX」は家族のファーストカーになるか? ターボとNAどちらを選ぶべきか?
掲載 carview! 文:塩見 智/写真:小林 俊樹 49
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長らく軽乗用車の販売ランキングでトップに君臨するホンダ「N-BOX」がこの度フルモデルチェンジして3代目となった。販売実績が示すとおり、2代目も軽自動車として不満のない性能が備わり、装備も充実し、使い勝手もよかったが、6年ごとにモデルチェンジするスケジュールにのっとって3代目となった。
新型は、グレード構成がシンプルになった。顔つきの異なる「N-BOX」と「N-BOXカスタム」があるうち、N-BOXはノンターボエンジン搭載モデルのみとなり、N-BOXカスタムにはノンターボとターボが設定される。エンジンの力強さに変更はないが、静粛性が向上した。そして先進安全装備は障害物の検知範囲が広がって性能がアップした。総合的に見ると、よりファーストカーとして使われることを考慮した軽自動車になったといえる。164万8900~236万2800円。
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運転席に乗り込んで最初に感じるのは、すっきりとした前方視界だ。N-BOX、N-BOXカスタムを問わず、インパネデザインが変わり、ステアリングホイール奥のメーターの上にあったカウル形状の盛り上がりがなくなった。水平基調のダッシュボードデザインで、2代目同様に前後2分割のAピラーを採用することで、サイドまで回り込んだ大型スクリーンで映像を見ているような視界となった。最近のホンダ車がこぞって採用する考え方であり、どれも好印象だ。
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歴代N-BOXには左前輪付近や斜め後方といった直接目視できない部分を確認するためにサイドアンダーミラーが備わっているが、今回、左前輪付近を確認するミラーと斜め後方を確認するミラーが離れた位置に配置されることで、それぞれを直感的に確認することができるようになった。前者はAピラーに、後者はドアミラーに置かれる。

ターボ車であれ、ノンターボ車であれ、走行時の静粛性能が確実に向上した。ルーフライニングの材質や形状を見直したことと(ターボ車はより防音性能が高い仕様になっている)、フロアカーペットに遮音層フィルムが追加されたからだ。これがめちゃくちゃ効果を発揮していて、軽自動車の中ではダントツに、小型車を含めてもいい勝負するほどの静粛性を手に入れた。長距離移動をしたくないクルマがあるとしたら、その理由はうるさいことであるケースが多いが、N-BOXでなら長距離移動を苦にしない。ファーストカーとしてアリだ。

<写真:N-BOXカスタム ※用品装着車>
パワーがなくても長距離移動は辛い。その点、軽自動車でもターボ車であれば、合流を含め痛痒なく高速道路を走行できるが、ノンターボ車だと辛い。この点は最新のN-BOXであっても変わらない。もちろんノンターボでも日本の高速道路の速度の上限である120km/hで巡航することはできるのだが、そこへ到達するまでに時間がかかり、その間、3気筒エンジンがうなり続けるため、いかに今回静粛性が向上したとはいえ、やかましい。
なので万能ファーストカーを求めるなら、N-BOXカスタムだけに設定されるターボ車を選ぶべきだ。カスタムじゃない顔つきのほうが好きという人もいるだろうから、そちらにもターボ車を設定してほしいという声は今後出てくるだろう。そういう意見が多ければマイナーチェンジで登場するかもしれない。
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高速道路をめったに使わないというのであれば、ノンターボ車でもOKだと思う。静粛性が向上した結果、高速道路合流時のように一定時間、全開に近い高負荷をかけ続ける場面以外では、うるささは気にならない。一般道での加速程度の負荷であればうるさいと感じることはなく、振動もよく抑えられている。

新型の静粛性の高さは、遮音材をふんだんに使っているからでもあるが、乗員がうるさく感じないようにCVTが制御されているからでもある。加速時にまず回転を最大トルク付近まで上げ、エンジンを効率よく稼働させられるのがCVTのメリットだが、その代わりエンジン回転の上昇と速度の上昇がリンクせず、ドライバーが気持ち悪いというデメリットがある。N-BOX、N-BOXカスタムのCVTは、若干燃費に目をつぶって、エンジンの回転上昇と速度上昇をリンクさせている。このことでドライバーは違和感なく運転することができ、うるさいと感じにくくなっている。アクセルペダルを踏み込んだなりのうるささであれば気にならないのだ。
乗り心地改善を目指し足まわりに手が加えられた。全車サスペンションのアライメントを見直し、旋回時の車体の傾き方を最適化したほか、ターボ車の前後ダンパーの減衰力を下げ、ソフトな乗り心地とした。これまでは空車状態でサスペンションを組み付けていたのに対し、新型では人が乗ったのと同じ状態で組み付けるようにしたという。その結果、よりマイルドで不快な振動を消すことができたという。これは実際に横浜の街なかと首都高速を走行して確認できた。
安全装備では、フロントカメラが約45度から約90度にワイドビュー化され、検知範囲が拡大した。2代目にも備わる踏み間違い衝突軽減システムが進化し、前後とも障害物を検知した際に誤発進を抑制するだけだったのが、ブレーキが作動するようになった。
このほか、これまではパワースライドドアが閉まり切ってから施錠する必要があったが、新型ではパワースライドドアが動いている間であっても施錠ボタンを押すと施錠が予約され、ドアが閉まり切ると施錠されるようになった。
テールゲートハンドルの位置を低くすることで、身長が低いユーザーでもゲートを開けやすくなった。これまでは小柄な人がハンドルをもってゲートを開けようとすると、ゲートの下のほうがだんだん身体に迫ってくるのを避けられなかった。

<写真:N-BOX>
要するに新型はどこかが根本的に変わったということはないが、全方位的に細かく手が入って使いやすくなった。4人までの家族がファーストカーとして購入してもまったく問題ない。ターボ車であれば高速移動の機会が多くてもOK。
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