ボルボ XC60 T5 SE 廉価モデルの実力は？

コストパフォーマンス重視ならT5

決して軽くはないボディに2リッターエンジン。果たしてマトモに走るのだろうか？　T5に対する最大の関心事はここだろう。

結論から言って、動力性能に関する心配は無用だ。新開発の直噴式2L直4ターボは203psという最高出力を発生するが、注目したいのはむしろ1750rpm～4000rpmという広い範囲で発生する300Nmの最大トルクだ。300Nmといってもピンとこないかもしれないが、過給のない自然吸気エンジンの場合、最大トルクの相場は排気量1Lあたり100Nm前後。つまり、この2リッター直噴ターボは3リッター自然吸気エンジン並みのトルクを、わずか1750rpmで発生するということだ。事実、T5は発進時から力強い加速を演じてくれるし、クルージング状態からの加速も思いのまま。ジワリと踏み込めばグーッと、バンッと踏み込めばグワッと、ドライバーの望みどおりの加速がいつでも手に入る。高速道路の本線への流入や追い越しなど、ここ一番のダッシュが必要なケースを含め、加速性能に不満を覚えることはない。

もちろん、285ps/400Nmの3リッター直6ターボを積むT6のほうが速いことは速いが、ウェイトが140kg重いこともあり、動力性能に決定的な違いはない。むしろ違いを感じるのはフィーリングの部分で、軽快で乾いた回転フィールをもつT5の4気筒に対し、T6の6気筒はストレート6らしいスムースさと艶のある回転フィールを備える。4WDが必要な人、あるいは上質感をキーワードに選ぶ人にはT6がオススメだが、コストパフォーマンスを重視するなら選ぶべきは間違いなくT5である。