キャプティバ、ユニークな多国籍モデルの実力
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:菊池 貴之
キャプティバを走らせて受ける第一印象は、実に“フラット”なものだ。誤解の無いように付け加えると、これは乗り味を示すフラット感のことではなく、クルマ全体の印象がフラットという意味で、どんなドライビングスタイルにもマッチしそうなニュートラルな感覚に満ちている、ということだ。乗る人によってはアッサリし過ぎている、と感じる人もいるだろう。しかし、走りの仕上がりとしては理想的だ。
いわゆるアメリカンSUVを想像してキャプティバに乗ると、ちょっとした肩透かしをくらうはず。最近のGMはあらゆる仕向地を考慮して実験を行っており、「コルベット」やキャディラックのSUVである「SRX」ですらニュルブルクリンクでテストするほど。それだけに乗り味は想像以上にビシッとしているのだ。もっとも、だからといってドイツ車的かというとそれとも違う。欧州系のSUVのイメージで乗ると、アメ車の良い意味での緩さがあるといえる。この辺りは以前に何を乗っていたかで判断が変わる部分かもしれない。
また2.4リッターの直4+6速ATというドライブトレーンは、このボディサイズには物足りない? とも思えるが、実際には“ちょうど良い”まろやかな加速感を生む。「ECOTEC」という名称を持つパワーユニットだけに、燃費等も“ガスガズラー(ガソリンがぶ飲み)”と言われたかつてのアメ車のイメージはない。ECOモードまで付いており、スロットルをあまり開かずにシフトも積極的に燃費に貢献するプログラムを選ぶ。そうした様から生まれる力感は、良い意味でライトな感覚といっていいだろう。ちなみに4WDシステムはいわゆるスタンバイタイプで、FF状態から前後50:50の配分まで状況に応じて可変する。
エクステリア&インテリアの印象だが、こちらは極めてプレーン。エクステリアでは押しの強いシボレーの顔つきがあるが、全体的に嫌みの少ないデザインとなる。一方インテリアは最近のグローバル車っぽくシンプルな造形となるが、シフトレバーやダイヤル、スイッチなどはざっくりとしたアメ車感がある。おそらく日本人からするとここもアッサリし過ぎと感じるだろうが、時代とともに急速に古びないだろう感覚があるようにも思えた。
またシートの座り心地が、表面はソフトで優しくフレームはしっかりという独特の感覚で、これは欧州車とも従来のアメ車とも違う感覚。もちろん日本車とも違う。このソフトだがしっかり…は病み付きになる良さだ。そして嬉しいのは、このクラスながら3列シートを備えた7人乗りであること。3列目は決して広くはないが、このクラスで3列目があることの意義は大きい。同クラスではどうしても2列5人乗りが多いSUVの中にあって、いざという時の3列目を備える点こそが安心。使い勝手よりむしろ、“ある”ことに説得力があると感じた。
そしてこの辺りの、あらゆる部分をカバーしている感じもまたイマドキのグローバルモデルらしい部分。そんな具合でキャプティバは、あらゆるライフスタイルとシーンにマッチする多様性を持っているわけだ。
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