911 ターボ×911 GT3 最強サーキットテスト
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:中野 英幸
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:中野 英幸
ポルシェ911ターボを新車で手にするためには、トヨタ・プリウスの10倍の金額が必要となる。つまり911ターボ1台に対して、プリウスは10台が世に存在できる。プリウスは10組のオーナーを世に生み出す一方、911ターボは1人のオーナーしか生み出せない。CO2排出量で見ると、92gのプリウスが10台と、268gのターボが1台ということになる。それでもポルシェは、新しい911ターボで、マイチェン前よりもCO2を下げたのだ。
911ターボを手にするには、2000万円以上が必要だから、経済的に手にできる人はプリウスの10分の1どころではなく、それ以下となるだろう。
物事を平等に考える、ということは決して悪いことではないが、それは正義ではないかもしれない。いやむしろ、場合によっては最も傲慢な考えなのかもしれない。事実、社会は不平等によって成り立っている。その現実は未来永劫、変わらないだろう。そうした現実を無視して、全てをフラットにしようと考えると、途端に間違いは起こる。正義を振りかざすと悲劇が生まれるのだ。
そう考えると、911ターボは実に哲学的な存在である。何が正しく、何が間違いであるかを静かに物語っている。ある方面で見れば、眉をひそめられるかもしれない圧倒的な高性能を携えながら。
しかし、そこには真実がある。何も間違ってはいないし、むしろ存在していなければいけないのだ、ということが。
そう考えると僕はますます、ポルシェが生み出すこのSpeed Kingが間違いなく、疑い様もない本物であることを痛感し、その圧倒的な存在の前にひれ伏すのである。
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