FFの「シビックタイプR TCR」に500馬力級のVTECターボ搭載!? HRCがS耐に投入したレーシングエンジンが速すぎた

K20Cテスト

HRCがレーシングエンジンを開発するワケ

大津選手のほか、#271は野村勇斗選手と辻本始温選手がドライブするが、二人も「パワーがあって運転が楽しい」と述べているという。

このエンジンが開発された背景には、日本のレースが抱える構造的な問題がある。

SFのマシンに搭載されるエンジンは、メーカーからのリース品。したがって、シーズン終了後はエンジンをリース元に返却する必要があり、車両レギュレーションが変わるとマシン（本体）はエンジンがないため廃棄処分になってしまうという。

HRCとしては、そういったマシンやF2のシャシーにこのエンジンを搭載することで、レーシングマシンの2次流通のマーケットの盛り上げや、海外で盛り上がるヒストリックF1といったカテゴリーへの搭載も考えているという。

また、アメリカでは1000馬力にもなる「クレートエンジン（木箱に入った完成エンジン）」がネットでポチっと買えるほどメジャー。日本にはそういったエンジンの販売方法がないため、スペックAやBが一般販売となれば、チューニング業界にとっても朗報かもしれない。

ちなみに、熱効率が高いため燃費もTCR車両に比べて20%も高く、制御は汎用ECUを用いており、安く高効率で汎用的なエンジンということだ。

現在、このエンジンの今後に関しては未定というが、今回のレースでの反響やユーザーの声によって今後の検討が進むそうで、HRCとしてはこのエンジンで「自動車業界が活性化すれば」ということを考えているという。

（終わり）

（写真：ハシモトタカシ、HRC）