MINI クロスオーバー ミニらしさは健在か?
掲載 更新 carview! 文:川端 由美/写真:BMWジャパン
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ここで最初の疑問に話を戻そう。ミニとは呼べないサイズでも、このクルマをミニと呼んでもいいのだろうか? 正直なところ、大きくなったことで失ったものもある。例えば、0-100km/hは7.6秒となり、従来のミニの飛び出すような加速感はない。
しかし、それと引き換えに得たものもある。2枚のリアドアで後席へのアクセスは格段に向上し、独特のルーフ形状にしたことで後席の居住性も高まった。標準で備わる左右独立シートは身長170cmの私でも快適に座れる。フロントからリアまで中央にレールが敷かれていて、後席の住人用にサングラスケース、iPodホルダー、ドリンクホルダー、スナックケースなど多彩なオプションを選べる。6ライトの採用で明るい空間は、後席でもミニに乗る楽しさを満喫できる。充分な容量を持つ荷室も魅力的だ。デバイダーを使って上下に分割して使うこともできるし、後席を倒せば最大1170リッターまで容量を拡大できる。
ミニ・クロスオーバーは、ライフスタイルの変化によってミニを卒業しなくてはならなくなったミニ・オーナーが、チャイルドシートを付けてキャンプに行けるミニである。ミニが欲しくても家族や趣味のためにミニを諦めていた人も、ミニ・クロスオーバーならオーナーになれる。
そもそもイシゴニスが設計したオリジナル・ミニも、ライフスタイルの変遷に沿ってさまざまな派生モデルを生み出したが、どれもがれっきとしたミニである。反対に、もしオリジナル・ミニが変化を嫌って原型に留まっていたら、あれほど長く愛されるモデルにはならなかったはずだ。
それに対して、ニューミニはまだ4モデル目。クロスオーバーがミニか否かなど論じるより、もっと沢山の派生車種の登場を望みたい。ミニらしさを保ちつつ、革新的でもあることがミニの条件ならば、クロスオーバーは立派にファミリーの一員である。ミニの語源は、ミニチュアでも、ミニマルでもなく、ミニそのものなのだから。
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