R8V10・サーキット試乗 R8の新たな顔が見えた
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:小林 俊樹
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:小林 俊樹
V8モデルと同様に、99%がアルミ製の軽量ボディとミッドシップレイアウトの効果は素晴らしい。試乗車の足回りにはOP設定のマグネティックライドが装着されており、スポーツ性に適した硬さと言うよりも、むしろ街中での乗り心地を優先した柔軟な味付けになっている。だが、ミッドシップにより44:56に合わせこまれた前後重量バランスの良さと、重量物がクルマの中心に集約されている効果もあり、回頭性が良く、どのようなハンドル操作をしようとも、遅れずにクルマが曲がってくれる。
ミッドシップというと運動性能を高め、スポーツカーにこそ適したレイアウトと思うだろうが、足回りを固めなくとも軽快な動きを生み出せるので、快適性を犠牲にせずにスポーツ性を高めることができるレイアウトでもある。R8はこの特性を巧みに使っていると言え、今回はスポーツ性能の確認が主眼のサーキット試乗だったが、一般道で同乗者からのクレームが出ない快適性も持ち合わせているはずだ。
シャーシ面での気になる特性を強いて挙げるとすれば、姿勢のコントロールが難しいことだ。微細なアクセル操作にも的確に反応するエンジン特性と柔軟な足回りの組み合わせは、少しのアクセル操作で必要以上に姿勢が変化して曲がり方が変化するなど、そのコントロールが難しい。さらに言えば、トランスミッションにシングルクラッチ方式の2ペダルを採用しており、シフト変速時の加速の途切れでクルマの姿勢が大きく変化するなど、ダブルクラッチ方式が欲しいと思ってしまう。
今回用意された試乗車にはダンパー減衰力を自在に操るマグネティックライドが装着されており、ノーマルダンパーの乗り味を確認できていないが、走りをとことん楽しむには、もしかすると減衰力調整をもたないノーマルダンパーのほうが姿勢変化が少なく合っているかもしれないことを付け加えておこう。
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