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「当分の間税率」に「二重課税」? ガソリン高騰に苦悩する国民の怒りが頂点に!

揮発油税、地方揮発油税、消費税の三重苦

政府の補助金縮小もあり、200円/L近い水準となってきたガソリン価格。昨年から続く食料品を中心とした物価上昇や電気代の高騰で生活は大変なのに、燃料代までこれ以上高くなれば「もう思うようにクルマに乗れない!」という悲鳴も聞こえてきそうだ。

こうした状況になると、日本でガソリンにかかる税金が自動車ユーザーにとって三重苦となっていることが恨めしくなる。我々が給油のたびに支払っている税金は、はたして本当に妥当な仕組みなのか?

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一見すると「揮発油税」は理にかなっているが…

まず、ガソリン代が高い一番の原因はガソリン税だ。ガゾリン税は「揮発油税」というのが正式な名前で、現在の税額は揮発油税法で決められており24.3円/L(本則税率)が課税されることとなっている。

このほかガソリンには国が課税し地方自治体に渡す地方揮発油税も4.4円/L(本則税率)課税されるが、こちらは額も小さいのでひとまず脇に置いておく。揮発油税が設けられた理由は、自動車ユーザーが運転をすると、その分だけ道路の舗装やペイントが傷むので、お金をかけて補修する必要があるからなどと説明されている。

揮発油税が一般財源ならなぜ自動車ユーザーだけが負担?

これだけ聞くと「確かに」と思ってしまうが、気をつけなければならないのは、揮発油税の使途については現在何ら制約がないこと。使途の決まりがない税収を専門用語で「一般財源」と呼ぶが、揮発油税収は2009年度から全額が一般財源化されており、政府は何にでも使うことができる。

実はこの揮発油税、2008年度以前は道路整備にしか使えない「道路特定財源」とされていたのだが、揮発油税収がある限り国の財政が危機的でも“無駄な道路がいくらでも作れてしまう”という点が問題視され、議論の結果、一般財源となったのが歴史的な経緯だ。

もちろん、一般財源化自体は税金の無駄遣いをなくすという観点で正しいのだが、問題は「一般財源を、なぜ一部の自動車ユーザーだけが負担し続けなければならないのか?」という点。社会保障や教育政策など国民全体が利益を受ける費用に広く充当されるのが一般財源なのだから、負担も国民全体で分かち合うのが筋だろう。

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揮発油税を倍にする「当分の間税率」がさらに馬鹿げている

もうひとつ、ガソリン税で大問題なのは、いわゆる「当分の間税率」(暫定税率とも呼ばれる)という仕組み。さきほど、揮発油税の税率は24.3円/Lと説明したが、これはあくまでも本則税率であり、実際には倍の48.6円/Lが課税されているのだ。

また、地方揮発油税についてもこの「当分の間税率」は存在し、実際には5.2円/Lが課税されているから(本則税率は4.2円)、二つの税を合計すると自動車ユーザーはガソリンを入れるたびに2つの税を合わせて計53.8円/Lを払っていることになる。つまり、ガソリン価格の4割以上は、こうした税金なのだ。

ちなみに、この「当分の間税率」は元来、緊急の道路整備を行う必要性から設けられた制度だが、ガソリン税が一般財源化されて以降も、さしたる合理的理由が示されないまま継続している。そう考えると、当分の間~というふざけたネーミングにも微妙に腹が立ってくるというものだ。

とっくに160円/L超えなのに…トリガー条項はどこへ行った?

なお、よく話題になるが、この「当分の間税率」にはトリガー条項という制度が設けられており、ガソリン価格が3カ月連続で160円/Lを超えた場合は「当分の間税率」が停止され、揮発油税と地方揮発油税合わせて25.1円/Lが減税されることとなっている。

ならば、今こそ、この条項が発動されるはずなのだが、実は東日本大震災の復興財源を捻出するという名目で、トリガー条項は凍結されており、いくらガソリンが値上がりしても「当分の間税率」を取られ続けるのが現在の仕組みなのだ。引けないトリガーになんの存在価値があるというのだろうか?

政府は、トリガー条項を凍結し続けている理由について、「税額が頻繁に変動して小売店の負担が増える」、「重油などが減税の対象にならず不公平」などと説明しているが、であれば、激変緩和措置を考えたり、不公平感を軽減したりするような制度設計を検討するのが本来のあり方だろう。

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当分の間税率を廃止しても国の税収への打撃は軽微

ということで、一般財源化されても自動車ユーザーだけが負担を背負っている「揮発油税」に加えて、理由が乏しいまま「当分の間税率」も課税され続け、トリガー条項は凍結されたまま、とガソリン税だけみても自動車ユーザーは二重苦を負っていることがお分かりいただけたと思う。

なお、直近2022年度の揮発油税収は約2.1兆円だったから、国全体の税収71.1兆円のおよそ3%程度を占めるに過ぎない。しかも、好調な企業業績等を背景に税収は数兆円単位で伸び続けているから、少なくとも揮発油税収の半分(約1兆円)に当たる「当分の間税率」だけでも廃止する余裕はあるはずだ。

にもかかわらず、「当分の間税率」の廃止はおろか、トリガー条項の凍結解除すらしないのは、到底自動車ユーザーの理解を得られないのではないだろうか。

税金に税金がかかるって……

ここまで、二重苦について説明してきたが、冒頭で三重苦と書いたとおり、自動車ユーザーを苦しめる税負担はこれだけではない。もうひとつ、見えない形で皆さんを苦しめ続けているのが消費税だ。

もちろん、消費税は誰が何を買っても基本的には10%課税される税(食料品等は8%の軽減税率)だから、その是非については色々な議論があるものの、少なくとも自動車ユーザーだけを狙い撃ちにしたものではない。

そうではなくて、ここで取り上げたいのは、給油した際にガソリン代だけでなく、先ほどまでえんえん説明してきたガソリン税にまで消費税が課税される二重課税についてだ。

と書くと、「税金に税金がかかるってどういうこと?」となってしまう方も多いかもしれないから、具体例を挙げると、仮にガソリンスタンドでレギュラーガソリンが180円/Lで売られていた場合、その内訳を大まかに見ると、本来のガソリン価格が約110円、ガソリン税が約54円(揮発油税48.6円+地方揮発油税5.2円)、消費税が約16円となる。

つまり、本来のガソリン価格に対する消費税(11円)だけでなく、ガソリン税に対する消費税(5円)まで支払わされているのだ。このように税金に対して税金を更に課税することを二重課税と呼ぶが、ある特定の目的で創設した税に、全く別の税金を上乗せするということはおかしいだろう。常識的に考えても、例えば毎月の給料で天引きされる住民税に対してさらに所得税を掛けられたら誰でも怒るはずだ。

国民の怒りは今や沸点に達していると信じたい!

以上、自動車ユーザーを取り巻くガソリン関連の税制をときほぐし、三重苦とも言える現状を可視化してみた。ガソリン価格の値上がりは政策的に対応できる部分が多い。実際、今回指摘した点の多くは、自動車メーカー団体などが長年にわたって政府に対し改善を申し入れしているのはご存知の通りだ。

だが、貴重な税収が減るからか、政府は中々重い腰を上げようとしない。まるで国民が本気で怒るはずがないと高を括っているような緊張感のなさだ。

ただでさえ円安やインフレで生活が締め付けられる中、スルスルと上がっていくガソリン価格に連動して、言いがかりのような税金までが上がっているという現実。ここは国民自身が意識を変えて、政府に怒りの声を上げるときではないだろうか。

写真:アフロ

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