シビックタイプRユーロ 欧州の走り、緊急試乗

衝撃的な旋廻性能！

幹線道路を走り、ワインディングに到着。ここで衝撃ともいえる出来事が…。

スポーティに走り出した最初のカーブ、恥ずかしいことだが、予想以上に回頭性能と旋回性能が高く、遠心力でボクの頭が外にコキッと傾いた。幹線道路を走っていたフィーリングからタイプRユーロをなめていたボクが悪いのだが、あまりにキャラクターが変わり過ぎではないだろうか。その曲がる力は、慣れ親しんだタイプRそのもの、いや、正確に言えば今までのタイプRでも感じたことのないレベルにあるかもしれない。やはり、コンパクトなハッチバックボディは、運動性能が高いということなのだろう。

一度、その曲がる力を体験すれば体が順応するので、残されるのは意のままにクルマが動く楽しさと気持ち良さだけ。スムーズにハンドル操作した際の微操舵から、クイックにハンドルを切る操作、さらには曲がりながらの追加操舵と、全てのハンドル操作にリアタイヤが滑ることなく素直に反応する動きはみごとで、コーナーリングマシンの様相を示しだした。しかも、高荷重を与える走りにおいても足回りは柔軟に動いており、曲がっている最中に今までのタイプRであればクルマごと跳ね上げられてしまうようなギャップを通過しても、柔軟にショックを吸収してタイヤの接地圧を保つので旋回能力が落ちない。粘るようなグリップを手にしたその旋回性能は、今まで以上に操る楽しさがある。

そして、忘れてならないのがエンジンの良さ。アクセルレスポンスの良さや、VTECの稼働回転数を下げて扱い易さを備えているのも魅力だが、特筆すべきは2次バランサーシャフトを採用して8000回転まで淀みなくスムーズに吹け上がる特性。回すほどに力みなぎるそのフィーリングは、慣れるまで8000回転まで回せないほどゾクゾクする刺激に溢れ、加速時は「ウッヒャ～」と声が出るほど気持ち良い。

気が付けば、トーンダウンした気持ちはどこかへ吹き飛びつつ、走りを堪能できたタイプRユーロ。スプリングを柔軟にすることで快適性を高め、同時に粘るようなグリップを発揮して旋回能力を高めるその手法はみごと。もちろん旋回能力にはハッチバックボディの素性の良さや、スタビライザーの強化も関係しているはずだが、全性能をバランスよく高めた走りをとことん楽しめるタイプRの別の顔を見ることができた。