GT-Rはニュルでどんな開発を行っているのか?
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:小林 俊樹(国内)、オレンジ・プレス
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もっとも水野氏だって、それは十分承知のはずだ。発表の時に宣言されたようにスペックVのアタックタイムが公表されないのは、まさにそれと同じ理由に違いないからである。
「スペックVがどれだけ速いかはお客さんが、市場が決めればいいんです。島下さんとかジャーナリストの皆さんは基準車とスペックVと両方乗るわけじゃない? Vがどれだけ基準車より速いかは、そこから推定してもらえばいい。僕らがアナウンスする必要は無いんですよ。大体、アナウンスしないからって基準車がスペックVより遅いって言われるようならスペックVを出す意味なんて無いんだから。ね?」
実際、スペックVのタイムが公表された場合、その数値だけが独り歩きしてしまう可能性はある。『スペックVこそがGT-R』になってしまってはマイナスでしか無い。
「GT-Rの基本のDNAは基準車。それはずっと通したいね。」
基準車しかも生産車でタイムを出すこと。これが大事だと水野氏は強調する。
「アタックのためにカットスリックみたいなタイヤを履いたクルマで何秒だなんて言っても意味がない。正直なことを正直にやりたいんですよ。」
この言葉は重い。過去の“スカイライン”GT-Rには、そういう傾向が無かったわけではないからだ。方々から疑いの声があがったのも、それが払拭されていないからだという面はあるだろう。きっと水野氏はそれも承知のはず。公開タイムアタックを行なったのも、そう考えれば合点が行く話だ。
ちなみに私も、残念ながら開発ドライバー氏の助手席でではあったが、ニュブルクリンク北コースでのGT-Rを味わうことができた。実は個人的に初めてのニュルブルクリンク。いきなり速いクルマは相当怖いと言われていたのだが、2名乗車で7分40秒台(!)での同乗でも、個人的にはまったく怖くは感じなかった。
おそらく、それこそがGT-Rなのだろう。大事なのは独り歩きしてしまうラップタイム自体ではなく、その背景なのだ。コルベットZR-1の助手席だったら、平静な顔では降りられなかったと思う。
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