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LFA・オン・サーキット その実力と魅力を探れ

NVHと“天使の咆哮”の関係

トヨタから魅力的なスポーツカーが生まれ難いのは、NVH=音と振動と荒々しさ、に関する同社の社内規定が厳密すぎることにあるのではないか、と僕はその昔どこかの雑誌に書いた記憶がある。男を奮い立たせるスポーツカーには、質のいいNVHが必要だと思ったからだ。ところが棚橋チーフエンジニアによると、LFAの開発に際しては、NVHの抑制に関する指示は可能な限り出さなかったという。その一方で、官能性能を際立たせることに関しては相当に情熱を使ったらしい。なぜなら、スーパースポーツとは走行性能と官能性能が高次元で両立したクルマでなければならないと、棚橋さんは考えたからだ。

そこで、官能性能の重要なファクターのひとつであるV10エンジンのサウンドに関しては、ヤマハ音響部門の協力も得て、主として排気系のチューンを入念に繰り返し、自ら“天使の咆哮”と名づけるほどの快音を手に入れたとされる。一方、レスポンスに関していうと、アイドリングから9000rpmまでわずか0.6秒で吹け上がるという、すこぶる俊敏なスロットルレスポンスを実現している。それにともなって、V10エンジンは4.8リッターから560ps/8700rpmのパワーと48.9kgm/6800rpmのトルクを絞り出し、トルクチューブを介してトランスアクスル配置されたASGと呼ばれるギアボックスに伝達され、後輪を駆動する。ASGとはATモードを備えるシングルクラッチの2ペダル6段MTのことだ。

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