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悲報!! いつまでクルマ「値上げの連鎖」が続く? 販売王者トヨタでも起こりうるか

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悲報!! いつまでクルマ「値上げの連鎖」が続く? 販売王者トヨタでも起こりうるか

 2022年から各メーカーが車体価格の値上げを発表しているが、2023年春以降、新たな価格改定が続々と発表されている。どんな車種がどのくらい値上げされたのか? 値上げは今後も続くのか? 各社の3月期の決算発表も出揃ったいま、その現状を再確認してみたい。

文/鈴木喜生、写真/スバル、ダイハツ、トヨタ、日産、ホンダ、三菱

悲報!! いつまでクルマ「値上げの連鎖」が続く? 販売王者トヨタでも起こりうるか

各社の値上げ状況は?

 まずは、2022年夏以降の各車両メーカーのリリースや報道をまとめてみた。以下は国内主要8社の車両おける主な価格改定だ。

【スズキ】
●2022年は純正部品の価格改定を実施。
●2023年5月末時点で車両価格の改定はなし。

【スバル】
●2022年8月に「フォレスター」の価格を一部改良にあわせて5万5000円(約2%)値上げ。
●2022年11月に「レヴォーグ」のSTIスポーツなど4車種と、「WRX S4」のSTIスポーツRなど、2車種の上級モデルの価格を5万5000円引き上げ。廉価版は当面は据え置き。

レヴォーグの上級モデル「STIスポーツ」など、4グレードは価格を376万2000円~482万9000円に。WRX S4も上級モデル「STIスポーツR」など2グレードの価格を444万4000円~482万9000円に引き上げられた。写真のレヴォーグSTI Sportは376万2000円(税込)に

【ダイハツ】
●「ハイゼットカーゴ」「ハイゼットトラック」「アトレー」が2023年7月生産分から値上げされる予定だったが、受注分の納期が遅れていることから2023年末に延期することが発表された。値上げは、最大で8万8000円(税込)となる予定。

【トヨタ】
●ダイハツの「ハイゼット カーゴ」「ハイゼット トラック」のOEMモデル「ピクシス バン」「ピクシス トラック」も値上げを決定。ただし、ダイハツの値上げ延期に伴い、2023年末まで延期になることが発表されている。
●上記OEMモデル以外、2023年5月末時点では車両価格改定の発表はない。

【日産】
●2022年12月、EV車「リーフ」「リーフAUTECH」「サクラ」の価格を改定。それぞれの上級モデルにおいては、「リーフ」が102万8500円(約21%)、「リーフAUTECH」が103万9500円(約23%)と大幅アップ。「サクラ」は10万100円(約3%)の上昇。
●2023年4月10日には、「エクストレイル」「キックス」「AD」「エルグランド」「キャラバン」の5モデルの価格改定を実施。人気のSUV「エクストレイル」のSは31万1300円(約9.7%)アップ。
●2023年5月から小型ハイブリッド車「ノート」シリーズの価格を改定。「ノート」のXグレードは一律で3万8500円(約1.7%)、「ノートオーラ」のGは一律で4万5100円(約1.7%)の値上げ。

リーズナブルな価格で電気自動車が手に入るというのがひとつのアピールポイントだったサクラも世界的な原材料費や物流費の高騰の影響は避けられず……。改定後の価格は、249万3700円~304万400円(税込)に

【ホンダ】
●2023年4月21日に「N-BOX」、「フリード」、「ステップ ワゴン」を新価格で販売開始。N-BOXは、最大3万5200円の値上げ、フリードは最大5万5000円の値上げ、ステップワゴンは最大6万6000円の値上げ。

2022年度新車販売台数1位のN-BOXもついに値上げに! N-BOXは、144万8700円~204万2700円(税込)が146万8500円~206万2500円(税込)に。N-BOX Customは、178万9700円~225万2800円(税込)が182万4900円~228万8000円(税込)へと値上げとなった

【マツダ】
●2022年8月にSUV「CX-30」、9月に小型スポーツ車「マツダ3」を6万6000円(税込)の値上げ。
●2023年4月1日より純正部品のみの値上げ。

【三菱自動車】
●2022年8月1日から「デリカD:5」を一律8万8000円(約2.2%)、「ミラージュ」を一律3万3000円(約2.2%)の値上げ。
●2023年2月1日、SUV「アウトランダーPHEV」の全6グレードを一律22万円(約5%)値上げ。軽EV「eKクロスEV」の全2グレードは一律14万8500円(約6%)の値上げ。

値上げラッシュの原因は?

原油価格の世界指標となるWTIの市場価格は2022年6月のピーク時には123ドルだったが、今年5月には70ドル前後まで大幅に下落した。しかし、円安効果によって日本においてはいまだ割高感が強い

 各メーカーが車両の価格改定に踏み切るのは、主に以下が原因となっている。

●原材料価格の高騰
●エネルギーコストの増大
●輸送費の高騰

 ロシアのウクライナ侵攻後、世界的な物価高が続いているのはご存じのとおり。

 特に、車体各部に使用されるアルミ、マフラーの触媒となるパラジウム、バッテリーに不可欠なリチウムなどの採掘資源は、原産国としてロシアが高いシェアを誇ることもあり、2022年には異常ともいえる高値を記録した。

 しかし、2022年11月頃にはどれもがピークアウトし、2023年5月時点では多少落ち着きつつある。ただし、数年来の相場においてはいまだ割高な状態にある。

 原油価格も同様に、2022年のピーク以後は徐々に価格を戻しつつある。

 ただし、採掘資源や原油の高騰は、時間差をもって製品価格に反映されるため、この数カ月における各社の車両価格の改定は、2022年秋にピークを迎えたそれら資源価格の影響が、タイムラグをもって表出した結果だといえるだろう。

 国内の各自動車メーカーは、あらゆる手を尽くしてコストの圧縮に努めているが、コストの増加分を吸収するにはすでにその限界を超えている。

 実際、過去においてはモデルチェンジに合わせて価格改定を行うのが国内車両メーカーの通例だったが、それを待たずに値上げを実施するという異例の事態が相次いでいることからもメーカーの苦境がうかがい知れる。

トヨタも値上げに踏み切るのか?

初夏にフルモデルチェンジを予定しているアルファード/ヴェルファイア。注目度の高いモデルだけに、価格が気になるところ……

 こうした状況のなか、トヨタはこの半年間、価格改定を行わずに耐えてきた。しかしトヨタは2023年の上期(4~9月期)に、一次取引先からの調達品購入価格を引き上げることを表明している。

 これは主に、日本製鉄からの鋼材の買取価格の値上げを了承したことを意味する。つまり近い将来、そのコストが車両価格に反映され、トヨタ車においても値上げが実施される可能性は高い。

 トヨタは協力会社の経営安定化を図るため、電力やガスなどのエネルギー費用をトヨタが負担することまで検討している。同社は価格改定を極限まで引き延ばしつつ、さらにはサプライチェーン全体の存続にも注力しているのだ。

 スズキは、海外市場においては車両価格の値上げをしてきたが、国内においてはやはり価格の据え置きを維持してきた。

 しかし、2023年5月15日に行われた決算会見の場で鈴木俊宏社長は、近い将来において全車種値上げする可能性を示唆、その苦しい状況を明かした。

苦しいながらも5割が増収増益

海外事業の比率が高いトヨタやスバルなどは、2023年3月期の決算で大きな利益を出した

 各社とも車両価格の改定を実施、またはその決断が迫られてはいるが、その経営状況は決して悪くない。

 2023年4月後半から5月にかけて、国内自動車関連メーカーの決算が続々と発表された。それを集計したマークラインズ社のデータ「国内の自動車メーカーと部品サプライヤー各社の通期(2023年3月期)決算まとめ」(5月22日現在)を見ると、主要メーカー(OEM社)9社と、主要サプライヤー67社、計76社においては以下のような決算状況となっている。

●増収増益/38社
●増収減益/36社
●減収増益/0社
●減収減益/2社

 つまり、76社中の2社以外はすべて増収であり、全体の半数は増益でさえある。

 ただし、この数字が比較対照する2022年の同時期は、ウクライナ戦争の勃発によって世界的な情勢不安が高まった頃であり、かつコロナ禍でもあったため、今期(2023年)においては好成績が出やすい状況にあったともいえる。

 また、昨今続く円安によって、各社とも海外事業の成績が好調だったことも影響している。

価格上昇はいつまで続く?

 原材料費、エネルギーコスト、輸送費の高騰は、大きく分けると2つの理由が考えられ、そのひとつはウクライナ戦争による世界的な資源不足と流通の停滞、もうひとつは海外との金利差の拡大による円安の影響といえる。

 ウクライナ戦争がいつ終息するかは予想できないが、原材料費、エネルギー価格の高騰はピークアウトしているので、割高感や不安定感はあるものの、一定期間、一定幅で、現在の相場が続くようにも思える。

 この素因から考えれば、さらなる車両価格の上昇は抑制されるものの、以前の価格に戻る可能性は極めて低い。

 また、一時は1USドル150円まで下落した円安も少し落ち着きつつあるが、日本とその他先進国との金利差はさらに開きつつあり、さらに円安に振れる可能性は低くない。

 円安が加速すれば、海外事業を展開する自動車関連会社の利益は拡大するだろう。いっぽう、国内市場においては、海外から輸入するあらゆるコストが増大し、それが車両価格に反映されることになる。

 採掘資源と為替、さらにローン金利や保険などの金融コストも考えれば、いったん上がった車両価格は下がることはなく、過去よりも割高な価格が維持されるか、または国際情勢や世界経済の状況によっては、さらに上昇する可能性が高いのではないだろうか?

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みんなのコメント

19件
  • そりゃ車も高くなるさ。円安だもの。んで社員の給与もあげないかんし。
  • 値上げは、避けられないでしょう。
    トヨタも値上げに向け、動いています。
    カローラだけは販売を続けてきたが、モデルチェンジと称して
    6月下旬から受注を中止します。
    年末までバックオーダーを消化し欲年からモデルチェンジし、単価UPです。
    マイナーしたばかりですので、大幅な変更は無いと思いますが、価格だけは上がるようです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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