世界初の9速AT、その実力はいかに?
掲載 更新 carview! 文:川端 由美/写真:ゼット・エフ社
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さて、お立会い! ガマの油売りじゃないけれど、そんな呼び声をかけてしまいそうになるのが新開発のZF製9速ATだ。そりゃ、過去を振り返れば、ATの歴史は多段化の歴史だったといっても過言ではない。とはいえ、3速、4速、5速、まあ、なんとか6速くらいまでは必要性が理解できたけれど、最近ではRWDモデルなら6速や7速は当たり前、8速も珍しくはない。FFでも、DTCなら7速は当たり前という時代になってきている。
とはいえ、2年前のデトロイト・ショーでZFが9速ATの開発を発表したときには驚きを隠せなかった。ここで少々座学を。ZFとは南ドイツにある変速機を得意とするサプライヤーで、なかでもFR用8速ATは世界の高級車のスタンダードとなりつつある。加えて、BMWのMやポルシェがPDKとして採用しているDCTの開発もZFの仕業だ。
すわ、9速ATの登場で、高級車向けATのスタンダードを塗り替えるつもりか!? などと早とちりすることなかれ。新開発の9速ATは、FF用に開発されたというのだから、2度びっくり。2年以上におよぶ熟成期間の後、実物を見てもびっくりさせられた。世界で初めてZF製9速ATを初搭載するのは、レンジローバー・イヴォークである。FR用ATで牙城を築いたZFが、世界の乗用車の約75%を占めるFF向けの回答を満を持して世に送り出すというわけだ。
ドイツ本国で開催された「プレIAA(フランクフルト・ショーを控えて、メディア向けにティザーでイベントを行う)」にてベールを脱いだ9速ATは、これまでのFWD用ATの概念を覆すものだった。なんといっても、2組のドグクラッチの採用が目に留まる。この辺で少々技術をかじった人なら、変速ショックが出ることを予想するわけだが、ZFはあえて小型・軽量化のために初のドグクラッチを採用した。加えて、8速ATより1組多い4組のクラッチパックを組み合わせて、9段分の変速プログラムを作り出している。
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