新型エルグランド登場、高級ミニバンの高みへ
掲載 更新 carview! 写真:齋藤 正
掲載 更新 carview! 写真:齋藤 正
すでに事前フォトやプロトタイプ試乗記をお届けしていた「日産エルグランド」が8年ぶりのフルモデルチェンジを果たした。今回の3代目では、駆動方式を従来までの「FR」から「FF」に変更し、全方位的なグレードアップを実施。高級ミニバンの先駆者としてのプライドを賭け、アルファード/ヴェルファイアからの覇権奪回を狙う。
他のミニバンとの「格の違い」を強調したという外装は、押し出しの強さだけではない上質感がポイント。艶感と厚みのあるフロントマスクをはじめ、キャビン全周を囲むクロームモールがフォーマルな佇まいを表現し、上下二段式ヘッドランプユニットや水平基調のリアコンビランプがエルグランドらしさを継承している。ボディサイズは全長4915mm(先代比+80)×全幅1850mm(同+35)×全高1815mm(同-95)、ホイールベース3000mm(+50)。先代に比べてずいぶんとワイド&ローな印象だ。
コクピットの雰囲気はまさに高級車のそれ。木目調パネルやクローム加飾は、クラスナンバーワンの面積に奢られている。そして何より凄いのが、乗る人すべてに極上のくつろぎをもたらすシートだ。1・2列目シートは低反発素材を加えた三層構造。助手席と2列目に用意されたオットマン機能は、余裕の室内スペースのおかげで3席での同時使用も可能だ。3列目も従来までの跳ね上げ式から床下格納式への変更によって、より厚くクッション性の高いシートを採用できている。ガソリン車では日産初となる遮音フロントガラスの採用もトピックとなる。
搭載エンジンは、専用チューンを受けた3.5リッターの「VQ35DE(280ps/35.1kg-m)」と2.5リッターの「QR25DE(170ps/25.0kg-m)」の2機種。いずれもロックアップ領域を低速域まで広げたエクストロニックCVTと組み合わされ、徹底した低フリクション化が図られている。
その結果、3.5リッター車の燃費は先代モデルの8.2km/Lから9.8km/Lへと向上し、4WD車が50%のエコカー減税に対応。2.5リッター車の燃費は8.9km/Lから11.6km/Lへと向上し、全車が75%のエコカー減税に対応している。先代モデルはエコカー補助金(9月末で終了予定)のみ適合だったため、エコカー減税にも適合していたアルファード/ヴェルファイアに遅れをとっていたが、これで税制上のハンデは無くなったことになる。
また燃料タンクを徹底して薄型化することで、フロア高を下げたにもかかわらず、先代モデルと同レベルのタンク容量を確保(74L。従来は76L。ちなみにアルファードは65L)。燃費向上も相まって、満タンからの航続距離は約20%~30%も伸びた。
デビューまでの8年もの月日は、低重心パッケージと走りの熟成のために捧げられたといっても過言ではない。それだけに操縦安定性や高速安定性の高さ、振動&騒音レベルの低さは、もちろんトップレベルだ。サスペンションは前:ストラット式、後:マルチリンク式を採用。いずれもアルミ製リンクによってバネ下荷重の軽減を図っている。
日産の社内データ(先代モデル比)によれば、ボディのねじり剛性が30%アップ、横曲げ剛性が10%アップ、ステアリングコラムの剛性も約3.5倍にまでジャンプアップ。また突起乗り越えショックが30%良化、横風に対する空力特性が10%良化するなど、すべてにおいて先代モデルを凌駕している。
さらに取り回し性にも優れ、ボディ拡大にもかかわらず、最小回転半径は16インチ車が5.4m(従来比-0.3m)、18インチ車が5.7m(従来の17インチ車と同数値)を実現した。
FF車の価格は、3.5リッター車の「350ハイウェイスタープレミアム」が435万7500円、「350ハイウェイスター(コンフォタブルキャプテンシート付)」および「350ハイウェイスター」が385万3500円。2.5リッター車の「250ハイウェイスター(コンフォタブルキャプテンシート付)」および「250ハイウェイスター」が338万1000円、「250XG」が307万6500円。4WD車を選択した場合は、全グレードで一律28万3500円アップとなる。前述の通り、2.5リッター全車はエコカー減税およびエコカー補助金に適合している。
※白ボディは、内外装にカスタマイズを施したオーテック版の「ライダー」
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