マセラティ レヴァンテ試乗。スポーツモードで性格が豹変する官能のSUV
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:Takayuki Kikuchi
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:Takayuki Kikuchi
スポーツボタンで最も分かりやすく変わるのは排気音だ。バイパスバルブが開き、止まっていても即座にわかるほど音が太くなる。エクゾーストノートの可変機能は最近では珍しいものではないが、レヴァンテのそれは変化の幅が過激なのだ。
ノーマル時はV型エンジンの低音を強調したドイツ勢なども採用しているドロドロ系。それがバイパスを開くと管楽器のような倍音成分と爆発音を主体にしたものになる。3.0L V6ツインターボ・ガソリンエンジンはマセラティとフェラーリのコラボレーションで開発され、マラネロのマセラティ専用ラインで組まれるが、まさにその背景を思わせる官能的な音。しかもターボでありながら高回転まで回転振動少なく鋭く吹け上がる。ちなみに室内だと低音系の吸気音が大きく、車外で聞くほうが官能的。だからドライバーとしてはトンネルに入るたび、ひと踏みして音の響きを楽しみたい衝動に駆られる。
足回りと駆動系も変化して、グラつき感が減り、ハンドルの手応えにズシッとした重さが備わる。さらに4WDの駆動配分も前にグイグイ積極的に進むように変化。カーブから加速する際、後輪がクルマを押し出しつつ、前輪が引っ張る量が増える感覚だ。これは悩ましいところで、率直に言うとフロントタイヤの駆動感が少ないノーマルモードの方が素直で洗練されたステアリングフィールをもっている。スポーツは4つのタイヤのグリップを駆動力にも旋回力にも余すことなく使い切るタイプで、速いし安定するが、ハンドルが重くなりすぎたり、グリップ力の変化が掴みづらくなったりする。レヴァンテの4WDシステムは、ギブリの4WDシステム・ギブリQ4をベースに仕上げたというが、今後は重量級レヴァンテ用にさらなる熟成が進んでいくのだろう。
マセラティ初のSUVであるレヴァンテが、ラグジュアリーSUV市場においてエレガントなデザインや快適性、サウンドを主体とした官能性能で存在感を示すのは間違いない。今後は「ポルシェ カイエン」や「BMW X5」、「レンジローバー スポーツ」といったライバル勢と、主にダイナミック性能の点でどう戦っていくのか、今後の熟成が楽しみになってきた。
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