世界が驚いたカクカク巨大ボディ&M最強パワー! BMW「XM」はどんなクルマ?
掲載 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office 39
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「BMW XM」。ここ数年、これほどまでに自動車に関わる人たちの世界をお騒がせしたモデルはなかった。その理由はいくつかあるが、まずそのスタイル、BMW M社が久々に世に送り出した「スポーツカー」だが、それはどこから見ても背の高いクロスオーバーである。しかも全長5.11×全幅2×高さ1.76mと日本人男子の平均身長よりも高い。
アリゾナ州スコッツデールで開催された試乗会に現れたXMはまるでカクカクした巨大な箪笥(たんす)のようで、正直言ってダイナミックなクルマの印象は持てなかった。
まあデザインは好みの問題なのでここでは評価はしないが、アメリカ合衆国サウスキャロライナ州のスパータンバーグ工場で生産されるこのクルマは、元々北米あるいは中国市場向けに開発されたもので、ヨーロッパの販売比率はわずか10%、日本はせいぜい一桁に過ぎないはずだ。
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1978年に登場したM社初の自社開発スポーツカー「M1」の再来といわれるXMは確かに伝統を継承したモデルで、リアウインドー上部の左右にBMWのロゴがレーザーでエングレービング(印刷)されている。
彫刻刀で削ったような鋭角的な面と線で構成されたユニークな外観デザイン、ダークなキドニーグリルとサイドウインドウを取り囲むゴールドのアクセントラインはXMの存在をさらに際立たせている。ちなみにボディカラーが白ではラインがブラックだが、いずれにせよ斬新であることは間違いがない。
この巨大ボディには前275/45R21、後315/40R21サイズのタイヤが標準装備される。オプションでは23インチタイヤも用意されているが、実際には目立って大きな印象は受けない。特に巨大な貨物トラックが走り回る北米では違和感はない。
勇猛な外観に呼応してインテリアもそれなりに果敢な試みを見せている。M社の社長フランク・フォン・メールが「Mラウンジ」と名付けたリアコンパートメントは高品質な素材と仕上げをもったユニークなデザインで、同時に十分な広さで快適である。
天井はアルカンタラ製で、点灯するとプリズム構造が際立ち、まるで海中にいるような独自の空間が誕生する。
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発売時に搭載されるパワープラントは4.4L V8に電気モーターを組み合わせたハイブリッドで、システム出力653ps/800Nmを発生する。その結果、2.7トンの空車重量にも関わらずカタログ上の0-100km/h加速は4.3秒で、最高速度はスタンダードで250km/h、オプションのMパッケージを注文すると270km/hまで解除が可能だ。また電気モーターだけでのEV走行では最高速度は140km/hで、航続距離は90kmとなる。
ハイブリッドモードでの電気モーターとV8エンジンへのバトンタッチは僅かな遅れは感じるがスムースであった。また、V8エンジンのみで走行することも可能である。2基のパワープラントが発生するパワーは豪快そのものだが決して爆発的ではなく、もう少し余裕があるように感じられた。
それは計画的なものでBMWは「レッドラベルバージョン」の存在を明らかにしており、その最高出力は748馬力で、最高速度は290km/hに達する。 一方で直列6気筒エンジンを搭載するエントリーモデルの用意もあるが、全てガソリン仕様でディーゼルは採用されないだろう。それは全てのXMがPHEVで、乗り入れ規制のある都市に入るための対策だからである。
一般道での印象で驚かされるのはアダプティブMサスペンションプロフェッショナルと4WSのお陰もあってボディサイズと重量からは想像できないような機敏さで、さらにハイウェイで速度を増して行くと安定した走行でツーリングが楽しめる。着座位置が高いため視界に優れ、リラックスして快適度が増す。
ステアリング、シャシー、パワートレーンのパラメーターはすべて調整可能で、これを利用して好みに合ったセッティングを探してドライビングプレジャーをさらに追及することが可能だ。
BMW M社が50周年記念を機に自社開発したXMはユニークなエクステリアデザインとフルサイズSUVクロスオーバーのボディが気にはなるが、欧州における最新の排気ガス規制ユーロ6dをクリアしている数少ない最もクリーンなマッスルカーであることも確かである。BMWジャパンによればこの新時代のスポーツカーの日本での価格は2130万円と発表されている。
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