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新型シロッコに海外試乗 FFスポーツ新時代到来!

VWデザインの流れを変える

サハラ砂漠から地中海に吹く熱い風を意味するシロッコという名前と、ジウジアーロによるデザインが与えられて初代モデルが誕生したのは今から34年前の1974年のこと。1974年といえばVWは名車ゴルフIをデビューさせた年だが、実はシロッコはゴルフより数ヶ月前に登場していた。カルマン・ギアの後継として企画されたスポーツ・クーペとして、ゴルフIと共通のプラットフォームが与えられ生み出されたモデルだった。

そんなシロッコとゴルフの誕生における関係性が34年後の現在、再び繰り返されることになる。噂通り今年のパリサロンではゴルフVIがデビューを果たす。次期ゴルフは現行V型のプラットフォームを用い進化すると言われる。ならば34年前のようにシロッコで用いたものがゴルフに…という想像は難くない。シロッコで採用された新たなデザイン手法や技術が継承されることも予想できる。

VWの新たな方向性を感じるデザインも注目だ。現在VWのデザインを取りまとめる名デザイナー、ワルター・デ・シルヴァはシロッコで、従来のワッペングリルに別れを告げ、水平基調の薄いグリルと精悍な目つきのフロントマスクを与える。フォルムはゴルフよりもワイド&ローな2ドアのハッチバック・スタイルとなるが、キャビンはリアに行くに従って絞り込まれリアフェンダーがよりワイドに見えるなど、ゴルフより遥かにエモーショナルな感覚が強く感じられる。さらにエクステリアはディテールも含め、これまでのVWで用いてきたデザイン手法を一切用いていない。例えばフロントマスクしかり、リア周りでもしかり、である。

一方インテリアはダッシュボードの上半分こそイオスのものを用いるが、ドアトリムやシートは専用のデザインで雰囲気はやはりエモーショナルである。特にシートは前後ともにステッチが入り、スポーツモデルらしい仕立てとなる。さらにリアシートは4人乗りと割り切ることで、ヘッドレスト一体型のスポーツバケット的なデザインが与えられる。もっともその分後方視界は良くないのだが…。

 こうして生まれたシロッコは、単にVWの新モデル、というよりも今後のVWデザインの流れを変えていく転換点に思えるのだ。

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