BMW 新型X3 国内試乗 ベストバイグレードは?
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:小林 俊樹
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:小林 俊樹
搭載エンジンが変わったのにも注目だ。
先代は2.5リッター直列6気筒を搭載するX3 28iと、同3リッターのX3 30iというランナップだった。新型も直列6気筒エンジンを搭載するが、排気量が3リッターで2.8リッター相当の出力を発揮する28iと、直噴ターボを組み合わせて3.5リッター相当の出力を発揮する35iの2本立てになった。その乗り味は、前章で述べたハンドルの軽さや転がり抵抗が少なくなった感覚は共通しているものの、それ以外が大きく違う。
28iは、上り坂やスポーティドライブでもストレスフリーの加速力を持ち合わせ、6気筒エンジンらしい高回転まで鋭く気持ちよく吹け上がる特性もある。トレッドが60mm以上広がって横方向の踏ん張り感が増し、もともと少なかった腰高感がさらに薄まり、旋回能力は車高が高いモデルとは思えないレベルになった。しかも、その旋回能力を足回りの強化で得たのではなく、重量バランスとトレッドの拡大、さらにはリアサスペンションの5リンク式のマルチリンク化など基本構造で得たので、乗り心地が犠牲になっていないのもすごいところ。
だが、その28iの進化がかわいいものに感じてしまうほど、35iが素晴らしい。エンジンは低回転トルクに溢れ、速度コントロールのし易さや、日常での扱い易さに加えて、ボディの重さを一切感じさせない豪快な加速も味わえる。しかも35iには、BMW初のATと組み合わせるアイドルストップ機構が付き、カタログ燃費で28iの10.6km/Lを大きく上回る12.0km/Lを得ているのだ。
35iのスゴさはこれだけでない。エンジンやシフトプログラムやハンドルの重さを統合制御するパフォーマンス・コントロールに、4輪駆動とブレーキ性能を統合制御して、クルマを安定性や旋回能力を向上させるパフォーマンス・コントロールを標準採用。これらの効果が素晴らしい。腰高感は一層減り、路面への張り付き感が高まると共に、ライントレース性が良くなるのだ。
それ大げさだろ? という声も聞こえてきそうだが、あまりにも35iのスポーティドライブが良かったため、車高が高いことを完全に忘れて、クルマから降りるときに、地面が無い! と一瞬転びそうになった。絶対的な価格は安いとは言えないが、X3の性能進化は凄まじく、そのコストパフォーマンスはとても高いといえる。
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