SLS AMG 海外試乗！ AMGは新世紀へ向かう

他の63AMGモデルとは一線を画す

走りはじめてまず感動するのが、エンジンのシャープな吹き上がりだ。他の63AMGモデルに比べていかにもフリクションが少ないフィーリングで、右足のわずかな動きを見逃さず瞬時に応えてくれるレスポンスも気持ちいい。SLRマクラーレンを含め、以前はメルセデス製V8をベースにスーパーチャージャーを追加してパフォーマンスアップを図っていたAMGだが、独自のエンジン開発ではNAにこだわりをみせたのは「スポーツカーには優れたレスポンスと感動的な吹き上がりが必要」という考えがあったからだという。

エキゾーストノートがややアメリカンな雰囲気であることについて「北米がメインマーケットだからなのか？」という質問をぶつけてみたところ、特にそういう意識はなく、純粋にパフォーマンスを追い求めていった結果、こういう音色になっただけだという。

DCTはすでに実績があるゲトラグ製。それゆえスポーツ走行でのパフォーマンスや変速のスムーズさなどはまったく問題ないが、街中など低速域でギクシャクすることもあった。メルセデス、AMGともに、オートクラッチは初なので少し煮詰めが足りないといったところだろう。

ハンドリングは想像以上にシャープだ。サスペンションはゴツゴツとした感覚がなく、じつにしなやかだが、ステアリングを切り始めるとノーズが素早く反応する。一般道のワインディングでは曲がることに対して一切のストレスがないような感覚で、ミズスマシのようにコーナーをクリアしていく。一体どこまで攻めれば限界に達するのか、末恐ろしいほどだ。