上陸から半年経ったBYDの現在地。ランボ顔150万円EVでゲームチェンジなるか?
掲載 carview! 文:ピーコックブルー 238
掲載 carview! 文:ピーコックブルー 238
2023年1月、中国の大手自動車メーカーであるBYDは電動SUVの「ATTO3(アットスリー)」の販売を国内で開始しました。
日本ではあまり耳馴染みのないBYDですが、2022年にはグローバルで約186万台のBEVを販売するなど、テスラを抜いて世界最大のBEVメーカーとなっています。近年では欧州やアジア、中南米などへも進出しており、世界戦略車であるアットスリーは、その主軸を担っています。
日本自動車輸入組合(JAIA)が発表している統計資料によると、BYDは2023年1月から5月までの間に484台を販売しています。このほとんどがアットスリーであると見られますが、年間1000台程度の販売台数になると考えると、輸入車BEVのなかではすでに一定のプレゼンスを発揮しつつあることが伺えます。
ミドルクラスSUVに属するアットスリーは、全幅こそ1875mmとやや広めではあるものの、日本の道路でも扱いやすいサイズ感です。440万円という価格もBEVとしては比較的手頃なものであり、補助金を活用すれば300万円台前半で購入できる点も魅力です。
一方、メルセデス・ベンツなどで腕をふるったデザイナーが手掛けたというデザインは、既存のBEVとは一線を画すものとなっています。特に、フィットネスジムや音楽スタジオに着想を得たというインテリアは目を見張るものがあります。
安全性に関しても、2022年10月に行われたユーロNCAPにおいて最高評価の5つ星を獲得するなど、グローバルレベルの性能を備えています。
>>食わず嫌いはもったいない。BYD「ATTO3」は“ごくごくフツー”のBEVだった
>>ギミック満載で高コスパ! 電動車世界一を争うBYDの日本導入第1弾アット3が味わい深い
ただ、インターネット上のコメントを見ると、アットスリーやBYDに対して慎重な姿勢を見せているユーザーが多いのも事実です。
そのなかには根拠不明の誹謗中傷に近いものも少なくない一方で、実際に購入を検討しているものの、その性能やアフターサービス体制に不安を覚えるケースが多いようです。
基本的な性能については、世界各国で販売されているという実績や、公的機関による評価を信用するしかありません。
アフターサービス体制については、2025年までに100店舗のディーラーネットワークを整備することが明らかにされています。これはジープやフィアットなどと近しい数であり、実現すれば一定のアフターサービスが受けられることになる見込みです。
とはいえ、アットスリーの購入を検討するユーザーはそれほど多くはないと思われます。そもそも日本のBEV市場はごくわずかであり、BEVのパイオニアとされる日産「リーフ」でも、2022年の販売台数は1万2000台程度です。
輸入車に関して見ればさらに市場は小さく、1000台売れれば十分にインパクトを残すことができたと言える規模です。このように考えると、BYDの出だしは決して悪くはないと言えそうです。
>>プロの評価は? アットスリーの専門家レビューはこちら
>>アットスリーの気になる点は? みんなの質問はこちら
ただ、100店舗ものディーラーネットワークを整備するのであれば、少なくとも年間数千台規模の販売台数が必須となり、アットスリーだけでその台数を販売することは難しいため、新たなモデルの投入が待たれています。
その急先鋒と目されているのが、4月に開催された上海モーターショーで発表された「シーガル」です。
全長3780mm×全幅1715mm×全高1540mmというボディを持つシーガルは、軽自動車とコンパクトカーの中間に位置するサイズ感です。30kWhと39kWhという2種類のバッテリーが用意され、それぞれの航続距離(CLTCモード)は305kmと405kmにおよびます。
ランボルギーニを小さくしたようなデザインですが、シーガルはランボルギーニなどで活躍したヴォルフガング・エッガー氏がデザインを担当しており、ランボルギーニのような雰囲気を漂わせるのも納得です。
>> V12+3モーターで1015馬力! 6000万のレヴエルトは次世代フラッグシップに相応しい“電脳化猛牛”だった
ただ、シーガル最大の魅力は、中国では150万円程度から販売されるというその価格です。もちろん、これまでも安価なBEVは多くありましたが、そのほとんどが中国国内向けもしくは新興国向けであり、機能や装備、安全性が値段相応のものでした。
一方、シーガルは当初から欧州をはじめとするグローバル市場をターゲットに開発が進められていたといい、機能や装備はもちろん、運動性能や安全性能も一定以上の基準にあるようです。
もし、近い将来にシーガルが日本国内へと導入されるようなことがあれば、仕様や為替にもよりますが、車両価格は200万円程度になる可能性が高く、補助金を活用すれば150万円程度で手に入れることができるようになるかもしれません。
シーガルがコレほどまでに安価である最大の理由は、BYDが世界有数のバッテリーメーカーであることにあります。調達が困難なバッテリーを多く保有しており、なおかつグローバルで販売できるように大量生産をすることで、圧倒的な低価格を実現しているようです。
日本には「安かろう悪かろう」という言葉がある一方で、クルマを選ぶうえで価格は最も重要な要素のひとつであることも事実です。
BEVに興味を持つユーザーが増えているなか、「最も安いBEV」の名をシーガルが手にすることになれば、日本の自動車メーカーにとって脅威となることは間違いありません。
写真:編集部、BYDログインしてコメントを書く
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
【独占】アストンマーティンF1、メルセデスからラッセル引き抜きに興味か。2026年以降のホンダ共闘チームを率いるエースに?
サービスエリアに「装甲車両が続々」→じつは”めっちゃ重要な訓練”でした! 気になるその内容とは
トヨタ「“新”JPN TAXI」がスゴい! 左“だけ”スライドドア×斬新「クラシック風」デザイン採用! ちょうどいい“5ナンバー”ボディで親しみやすい「馴染みの車種」改良モデルとは
ヒョンデ、高性能EVセダン『アイオニック6 N』を予告
レースクイーン7年目に挑む辻門アネラ「勝利の女神と言われることは少し複雑」【2025RQインタビューVol.15】
荒削りさがイイ? ミニ・ジョン・クーパー・ワークス・エレクトリック キリリとスポーティ
トヨタ カローラクロスとどう差別化する!? スプリンターカリブ復活について本気出して考えてみた!
新素材研究所が設計。ゴールドウイン 京都に見る「風」の物語と見立ての心
【F1分析】角田裕毅「今回はこれがベスト」 同一戦略だったオコンやサインツJr.にも敵わなかった今回のペース……やはり初日からの組み立てが鍵
プジョー新型『e-208 GTi』発表 280馬力の高性能モデル 足回りも強化、専用デザイン採用
18歳のアントネッリ、史上3番目の若さで表彰台獲得「ストレスの大きいレースだったが、マクラーレンに勝ててうれしい」
マセラティ、歴史的名車や自動運転車で「ミッレミリア2025」参戦へ
ほぼノーマルのまま激坂へ! 水素仕様ホンダCR-V、パイクスピーク・ヒルクライム参戦
【すでに7分切り】ニュルを制すか? 1200ps級のアメリカン最速マシン「コルベット・ゾラ」の正体
【実際どうなの?】高級SUV「ハリアー」購入者の評価。ハイブリッドとガソリンで分かれる明暗、意外な“格上モデル”がライバルに
新型「Tロック」のプロトタイプをキャッチ! 見た目も中身も大幅アップデートか?
「マイナ免許証」が本格スタート… 結局なにが変わる? 便利になる手続きと“まだ使えない場面”とは
【2026年中に正式発表か】フェラーリが「SC40」を商標出願! F40のオマージュモデル登場の可能性も
「こんなのムーヴじゃない」の声もあるが…スライドドア採用の新型は概ね好評。王者「N-BOX」と比べ価格も有利に?
“韓国のエスティマ”が大幅改良へ ヒョンデの高級MPV「スターリア」マイチェンで大胆フェイスリフト
「車検対応品」でも違反になる可能性あり! カーフィルムで気をつけたい“透過率”の基準とメリット&デメリットまとめ
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!