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インプレッサ STI スポーツ試乗 STIらしからぬ上質な走りゆえに浮かび上がるCVTのフィール

インプレッサ STI スポーツ試乗 STIらしからぬ上質な走りゆえに浮かび上がるCVTのフィール

スバル インプレッサ STI Sport(スポーツ)

走りの質感が良いだけにCVTのフィールが惜しい

「STI」と名乗るクルマは「ごつくて汗くさいスポーツモデル」という先入観があったので(失礼)、そのイメージをくつがえすインプレッサ STI スポーツのしっとりとした上質な乗り味には良い意味で驚かされた。

ただ、ひとつ気になったのは、CVT。「スバルはCVTが気に入らない!」と言う大人にはなりたくないと思っていたのに、思いの外上質なクルマだったので、どうしてもそこが引っかかる。CVTによってエンジンが「うわぁーん」と間延びした音を立てる度に、テンションが下がる自分がいる。踏み込んだ時にすぐトルクが応じてくれない感覚を何度も味わうと「これさえなければ……」と思ってしまった。

上質な乗り味のインプレッサ STI スポーツ。STIとSTI スポーツでは違うコンセプトで作られているのだろうかと思いスバル広報に話を聞いてみると、「STIはコンプリートカーとしてSTIが企画しており、1台1台手作業でチューニングを施していますが、STI スポーツはSTIのエンジニアが開発に携わりつつ、量産ラインで生産しています。クルマの成り立ちは違いますが、“運転がうまくなるクルマ”を実現するというコンセプトはどちらにも共通しています。たとえば、ニュルブルクリンク24時間レースでも誰が運転しても自在に走れる走行性能、つまり“運転がうまくなるクルマ”でなければ、24時間戦って勝利するというのは困難です。STI Sportも、公道のどんな路面でもまっすぐに走ったり、行きたいところにクルマを動かせる走りを目指して作り込みました」とのこと。

その言葉に「なるほどなぁ」とすっかり納得させられてしまった。WRXでニュルブルクリンク24時間レースに出場している井口卓人選手と山内英輝選手に話を伺った際にも、二人とも口を揃えて「年を追うごとに運転しやすくなっている」と答えていたのが印象的だった。「それが24時間しっかり戦って勝つことができている秘訣のひとつだ」とも。

究極のレースカーといえば、足回りはガッチガチで、なんなら重ステで人間がねじ伏せるように乗る! というものだと思っていたが、それはすでに時代遅れなのかもしれない。そう考えると、STI スポーツの快適な乗り味に深く納得する。

そしてこれくらい軽やかに運転できて快適なクルマであれば、STI好きだけではなくしっとりした上級モデルとして幅広い人たちに好まれるモデルになるのではないだろうかと思った。

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伊藤 梓(いとう あずさ):ライター
クルマ好きが高じて、グラフィックデザイナーという異業種から自動車雑誌の編集者へと転身。2018年からクルマの魅力をより広く伝えるために独立。自動車関連のライターのほか、イラストレーターとしても活動している。

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