アドバン最強ストリートタイヤ、ネオバAD08!
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:中野 英幸
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:中野 英幸
試乗日はあいにくの雨。ウエットグリップの性能も結果として高いレベルにあるというが、ドライグリップにこそ自信を持つタイヤだけに、コンディションは最悪と言えるだろう。だからこそ、別の機会にドライ性能を確認してレポートしたいと思うが、今回はウェット性能に特化してお伝えすることとなる。
まず感じたのは、ハンドル操作に対する応答性の良さと確かな手応え感があること。これは同一車両を使った先代AD07との比較で解ったことだが、ピットロードを走るだけで、AD07とAD08の違いは明確。低速走行時にハンドルを左右に切るだけで、同じクルマにも関わらずハンドルの重さが違う。インフォメーションがシッカリと伝わると言えば良いだろうか、路面を捕まえている感覚が手に伝わり、ピットロードを出てすぐの1コーナーから、全開で攻め込んでみようという安心感を与えてくれる。
このように書くと、AD07は攻め込めないのか?と言われそうだが、答えはYESである。勘違いしてもらいたくないが、これはAD07がダメと言っている訳ではない。タイヤ性能を全て引き出して行うサーキット全開走行においては、走行によりタイヤが温まり発揮されるピーク時のグリップ力を全て使う前提で走る。だからこそスポーツタイヤに限らず、タイヤが冷えているコースイン直後はハンドルの手応えもか細く、不安が先行してコースを攻めきれないのが普通。筑波サーキットであれば、数周を走って初めてタイヤが温まり、ハンドルに路面を捕まえている確かな手応えが伝わるようになり、攻め込める準備が整うというもの。だが、AD08は雨でタイヤが冷えている過酷な環境下にも関わらず、まるで一周走ったときのようなグリップ感が最初からあり、攻め込む気持ちが自然と湧いてきたのだ。
手応えがしっかりしているので、コースイン直後にAD07のタイヤが温まったときと同様レベルの全開走行モードで走った。さすがに1コーナーではタイヤが若干滑り修正舵が必要になったが、2つ目のコーナーからはオンザレールのグリップ力を披露。タイヤの温まりの速さと基本グリップ力が高い証拠だろう。路面を柔軟に捕まえている感覚があり、タイヤが滑り易い雨という環境を忘れるほど気持ち良くコーナーを攻め込むことができる。この特性は一般道でのスポーツドライブを安全に楽しめるものであると直感的に思えたのだ。
走行を重ねていくと、AD08の性能の高さをさらに深く感じられた。その要となるのが剛性感の高さ。ハンドル操作に対する応答性が良いのは当然として、高荷重に耐える特性が見事。ブレーキを掛けながら曲がる。曲がりながら加速する。そんな縦方向と横方向の負荷が複合的に掛かり、タイヤが潰れきって滑りを誘発しそうな場面でも潰れすぎることがないと言えば良いだろうか。タイヤが滑らずに耐えてくれる。まさにタイヤは柔軟だが芯がシッカリしているという、扱い易い特性だ。
さらにコアな分野に目を向けると、タイヤが潰れて変形してからの、復元力が強いのも好印象。オーバースピード気味にコーナーに入りわざとタイヤを滑らせてみたが、その滑りは穏やかでインフォメーションの良さも関与するが姿勢を修正し易い。さらに、タイヤが潰れて(よれて)滑った後に、即座にタイヤ形状が元に戻ろうとする感覚があり、それによりグリップ回復が早い印象を受けたのだ。もちろんこれは感覚的なものだが、結果的にドリフトもし易くコントローラブルな特性も持っていた。
このようにストリートタイヤでありながら、競技用タイヤを彷彿させる性能を持つAD08。最後に、クルマとの相性をお伝えすると、タイプRやランエボのようにタイヤに積極的に荷重をかけるハード目の足周りのクルマが抜群だろう。なぜならAD08の高荷重に耐える特性を解り易く体感できるからだ。逆に柔軟かつ豊富なストロークを持つ足回りのRX8等のクルマでは、タイヤに掛けたい荷重を足回りが吸収する感覚があり、AD08の良さを骨の髄まで堪能するには、極スムーズな運転技術が必要とされると感じたのだ。
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