ゴーンなき日産はコスト絶対主義を卒業し、魅力あるクルマづくりを取り戻せるか?
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:日産自動車
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いまポルシェとメルセデスの試乗会でスペインに来ている。そんな僕にも、ネットを通じてゴーン氏にまつわる様々な情報が届く。
西川CEOの記者会見から一夜明けた。ゴーン氏への恨み節ともとれるような内容、口ぶりに驚いた。おそらく彼自身、言いたいことをグッとこらえていまの地位まで上り詰めたのだろうが、ストレスは想像以上のものだったのだろう。
事件については今後捜査機関が粛々と解明作業を進めていく。その過程で数々の信じがたい不正が浮かび上がり、しばらくの間マスコミを賑わすことになるだろう。日産自動車という超メジャー企業の大騒動であることに加え、日産に奇跡のV字回復をもたらしたカリスマ経営者の大スキャンダルともなれば、マスコミが放っておくわけがない。クルマに興味のないフツーのオジサン、オバサンにとっても、豪邸を買っただの、50億円ごまかしただの、愛人がいただのといったネタは十分に刺激的なはず。今後はワイドショーや週刊誌に憶測やゴシップネタが次々に出てきて、クルマのことなどなにも知らないコメンテーターが無責任なコメントを面白おかしく喋るはずだ。
でもそんなものは所詮はお茶の間の暇つぶし以外の何物でもなくて……。
僕が注目しているのは今後の日産。もちろん、日本政府とフランス政府との問題に至る可能性すらあるルノーとの関係も大変興味深い。果たして日産はルノーに飲み込まれるのか。それとも独立を勝ち取るのか。しかし、現段階で判明しているファクトでは限定的なことしか書けない。
むしろいま考えたいのは、物事の本質中の本質。つまりエンドユーザーであるわれわれクルマを買う側にとっての日産がどうなるかだ。日本市場で売れている車種といえばノート、セレナ、エクストレイル、デイズぐらい。そんな、決して魅力的とは言えない日産車がこれを機に商品力を増せば、日産はもちろん、日本の自動車産業もユーザーもハッピーになる。企業ガバナンスとかクーデターとか不正蓄財とか巨額報酬とかルノーとの関係とかネタは山ほどあるけれど、メーカーの最終アウトプットはやはり商品でしかない。何があっても本質はそこにあるべきだと思うのだ。
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