VW 新型CC速攻試乗 戦略的プライスで登場
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office
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2008年に登場したパサートCCは4ドア・クーペというニッチな商品として登場した。もちろん2004年からすでにメルセデス・ベンツがCLSを発表しているが、Dセグメント(ミッドサイズ)としてはVW が初めての試みであった。
CCはフェートンとパサートの間を埋める役割を与えられており、このセグメントにおいてVWは主にパーソナルユーザーをターゲットに設定、ビジネスライクなカッコウをしているパサートでは不十分であると考えたわけだ。
そしてアメリカや中国向けには最初からパサートという名前を付けずに全く新しいモデルとして売り出したのである。この戦略は成功し、世界市場で3年間で32万台が販売された。
そこで今回、フェイスリフトを機に、バッサリとパサート名の排除を実施したわけだ。ドイツではパサートと聞くとまず販売台数の80%近くを占めるワゴンそれも社用車のイメージが強い。ちなみにCCとはすでにご存知の通りコンフォート・クーペを意味する。
フェイスリフトを受けた新しいCCのエクステリア・デザインは旧モデルと同じ様にセダンとの違いを強調している。特にルーフが後方に向かって落ち込んでいるサイドビューはエレガントなクーペのようだ。また柔らかなラインを持ったリアのエッジ・スポイラーとリアライトなども差別化を意図しているのだろう。
CCと刻印されたキラリと光るサイドシルを跨ぎ、キャビンに入るとドライバー正面の2連丸形メーターをはじめ、センターコンソールにはめ込んだナビ画面などインテリアにはあまり変化が見られず、パサートの印象が強く残っているのを感じる。ダッシュボード中央のアナログ時計でなんとか名誉挽回を計ろうとしているが、何やら取って付けたような印象は拭えない。ただし、レザーやウッドやアルミのアプリケーションの素材感、そして仕上げは丁寧に行われており、確かに高級な雰囲気は漂っている。
テスト車に搭載されている3.6リッターV6エンジンは市場投入以来もう10年以上も掛けて洗練され続けてきたパワープラントだ。15度のシリンダー挟角を持った特異なV型で、静かで滑らか、最大350Nmを2400rpmで発生するトルクは6速DSGとの相性もよく、実に落ち着いて非常に静かな走りを見せる。新たに採用された包括的なノイズ・インシュレーターによる効果も大きいだろう。またスタートから100km/hまでの加速は5.6秒の俊足で、最高速度もドイツ・アッパークラスのスタンダードである250km/hのリミッターまで到達する。
しかも電子制御のハルデックス・クラッチによって瞬時に後輪にもトルクが伝達され、確実なトラクションが期待されるので全天候型のオールマイティ・トランスポーターとしての素質も備わっている。
さらにアクティブ・セーフティ装備としてVW としては初のレーンキープ・アシストとサイド・アシスト、さらに速度表示認識、アクティブ・ヘッドライトと、これまでアッパーモデルにしか装備されていなかったハイテックもオプションで用意されている。また両手に荷物を持ったドライバーが後部に近づき、足で蹴るようなジェスチャーをするとトランクリッドが開くイージー・エントリー・システムも搭載されている。
ほぼフル装備状態のこのテスト車の価格は4万3275ユーロ(約433万円)と同サイズのエンジンを搭載したBMW3シリーズやメルセデス・ベンツCクラスなどのDセグメントのクルマよりは25%近く安い、非常にリーズナブルな価格になっている。フォルクスワーゲンの世界制覇に向けてのニューモデル攻勢はこのCCを皮切りに今年も積極的に展開される。
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