ジャパンタクシー改良で最大の課題「車いす拒否」は先送り。乗務員も困惑する中途半端なユニバーサルデザインとは

ハイエース

補助金が出ている以上、今のUDは中途半端

福祉車両向けにコストをかけた改造をせずにUDタクシーとして成立させる、という意味では考えられた設計だとは思いますが、乗務員への負担や乗客の待ち時間、現実に乗車拒否されるケースが後を絶たない現状を考えると、UDとは言い難いというのが正直な感想ではないでしょうか。

福祉車両を使った福祉タクシーがどうしても空いていないといった非常時に、通常のタクシーでも車椅子のまま乗り込める設計になっているといった印象です。

高齢化社会が進んでいくと車椅子を利用する人が増えていくことが容易に想像できます。そうした社会において、イレギュラー的な車椅子対応では真のUDとはいえず、例えば東京都の場合、国と併せて100万円近い導入補助金が出ていることの正当性も問われることにもなります。

・・・話は飛躍しますが、世界的には完全自動運転を前提としたロボタクシーの開発も進んでいます。ロボタクシーには乗務員は存在しませんから、人力でスロープを設置するような対応ではUDとはなりません。

そうなると、高齢化社会におけるロボタクシーにはスロープが自動展開するようなタクシー専用車が必須になるかもしれません。例えばテールゲートを開けて車椅子のまま乗り込むタイプの福祉車両をベースに、パワーテールゲートと電動スロープを搭載する仕様などが考えられます。

はたして、未来のタクシー専用車両はトヨタがジャパンタクシーを進化させるのか、それとも異なるメーカー（国外メーカーの可能性も）がタクシー専用にニューモデルを開発するのかわかりません。いずれにしても、乗客はもちろん、乗務員の負担軽減や、ロボタクシーを前提としたUDなどによって未来のタクシー専用車両が生み出されることを期待したいところです。

（終わり）

（写真：トヨタ）