SクラスのEV版「メルセデス・ベンツ EQS」に乗った! その高級感はテスラなどのライバルを圧倒している
掲載 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office 107
掲載 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office 107
「EQS」は全長5.22m×全幅1.93m×全高1.51m、ホイールベース3.21mと「Sクラス」のロングバージョンとほぼ同じサイズだが、トランクルームのノッチがないワンモーションデザインが与えられている。大きなハッチゲートをもつトランク容量は通常で610L、リアシートのバックレストを倒すと最大で1770Lとなる。
つまりリアシートにお客さまを迎えるSクラスと違って、EQSはプライベートオーナー向けなのだ。理由は簡単、トランクルーム(荷室)と繋がっているリア空間はライフスタイル向けでスポーツグッズなどかさばる荷物の搭載には便利だが、きちんと仕切りのある3ボックスセダンに比べて騒音や空調などは大きく劣る。ロールス・ロイスやマイバッハなどの高級車が常に独立したトランクをもつのはそのためだ。
同乗試乗のインプレッションを進めよう。ボディはチーフデザイナーのゴーデン・ワーゲナーが「プログレッシブラグジュアリー」呼ぶ、エッジをもたない滑らかなサーフェスが際立つ。その前面投影面積は2.51平方メートル、Cd値は0.20と量産モデルとしては世界最良のレベルに達している。
ただし不可解なのはここまで空力に拘ったデザインにも関わらず、価格が半分以下の「ホンダe」でさえ標準装備しているリアビュー電子カメラがない。社長のオーラ・ケレニウス自らの説明によると、顧客がまだ車内モニターに慣れていないという理由や、ドアミラーを電子カメラに代えた場合の空力特性の改善による航続距離延長よりも、カメラの電力消費量の方が大きいからだという。
さらにもう一点、ドライバーの視線を監視する装備によって、後述する助手席専用画面をドライバーが横から2秒以上注視していると、その画面が消えてしまう。この誤操作を回避するためにもダッシュボードにドアミラー画面をレイアウトできないのだ。
また、EQSのフロントフードの下には、従来のEVのような充電ケーブルを置く小さなトランクも補器類も見当たらない。代わりに600gの活性炭が詰まったおよそ60x41x4cmサイズの空気清浄フィルターが搭載されており、キャビン内の補助フィルターとともに、車外から入り込む臭いやPM2.5、NOx(窒素酸化物)、SO2(二酸化硫黄)を除去する。EQSは先に発表されたSクラスを超える快適空間なのだ。
ダッシュボードはエキサイティングな未来空間である。車幅いっぱいに広がった全長1.4mのハイパースクリーンは、使い古された表現だがまさにSFの世界に入り込んだようだ。画面は3枚で構成され、ドライバーの正面はADAS(先進運転支援システム)を含む運転情報、中央がナビやエンターテイメント、助手席正面にも専用のモニターが用意されている。すべての操作はフィードバック機能付きタッチ入力、あるいは音声入力だ。
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