F12ベルリネッタで箱根へドライブ<後編>
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:菊池 貴之
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そして最後は、その最終ステージであるターンパイクを豪快なペースで駆け下って、F12ベルリネッタによる「箱根ワインディング街道」官能ドライビングは、終わった。
決して小さくないクルマでありながら、F12がフロントエンジンらしからぬタイトな操縦感覚を持つスポーツカーに仕上がっているのは、新たに設計されたアルミスペースフレームシャシーとフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクのサスペンションなどに加えて、トランスアクスルを採用するなどして実現した、前46/後54というフロントエンジン車としてはかなり後輪寄りの前後重量配分も大きく効いているはずだ。
アストンマーティンやマセラティのトランスアクスルモデルがそうであるように、高性能なフロントエンジン車の多くはここ数年、荷重の半分以上を後輪に掛ける傾向にあるが、そのことによってリアの落ち着きが増しているのは間違いない。エンジンの生み出すパワーやトルクを、有効にトラクションに換えられるからだ。フェラーリはそのことに逸早く気づいていたようで、今から50年近く前、あの250GTの後継車として1964年秋のトリノショーで発表された275GTBに、早くもトランスアクスルを採用していたのである。
というわけで、フェラーリF12はベルリネッタの名に相応しい俊敏な身のこなしを持つフロントエンジンのスーパースポーツに仕上がっていて、そのドライビング感覚は想像以上に魅力的なものだった。だからそのGT3バージョンでも出して、レースに出撃して欲しいと思ったほどである。しかもその一方で、2座コクピットのシート後方に有効な手荷物スペースを確保するなど、3590万円のプライスタグを下げたF12に、使えるスーパースポーツとしての要素を盛り込むことも忘れていない。さすが、長いこと一流の高性能スポーツカーを生み出し続けてきたフェラーリのトップモデルに相応しいクルマだと思った。
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