【真相】「輸出優先でトヨタ車が買えない」は本当？ 数値で分析するとネットの意見とは異なる意外な結果に

画像：アフロ

長納期が続く「本当の理由」とは

では、近年のトヨタが特別に輸出を優先しているわけでないのであれば、なぜ多くのモデルでいまだに長納期が続いているのでしょうか？

この点について、前出の業界関係者は次のように話します。

「モデルごとに事情は若干異なりますが、総体的に見れば、需要が極度に集中してしまう社会構造になっていることは無関係ではないと思います。

クルマに限った話ではありませんが、インターネットやSNSが発達した昨今では、いわゆる『バズる』ことによる需要の集中がさまざまな場面で見られます。さらに、話題が話題を呼ぶことでさらに人気が高まり、それによってリセールバリューも高まっていきます。

こうした流れを解消するためには、増産するのがベストな方法です。

しかし、クルマのような工業製品は、需要に合わせて生産量を柔軟に調整することが簡単ではないうえ、そもそもトヨタはすでにほとんどの工場をフル稼働させています。

そのため、生産量を増やすには工場そのものを増強するしかないというのが現状です。

もちろん、それは決して簡単なことではありませんし、過剰な生産設備をもつことが自動車メーカーにとって大きなリスクであることは、日産の現状を見れば明らかです」

さまざまな背景を冷静に分析すると、「円安が続くなかで、最近のトヨタは輸出を優先するようになった」「最近は輸出のほうが儲かるから、国内市場を後回しにしている」というのは、大局的には誤りと言えそうです。

とはいえ、ユーザーの思うようにクルマが手に入らない状況が続いているのも事実であり、トヨタによる対応策が求められているのも事実です。

（終わり）

（写真：トヨタ）