新 硬派系 V8アストン 公道版GT4と呼びたい
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:アストンマーティン
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まずはクーペのコクピットに身を沈めて、サーキット周辺の夢のような高速ワインディングに出撃する。シートはバックレスト一体型のバケットタイプだが、シート全体の角度を電動でアジャストできるため、バックレストの角度を調整不可能な911GT3のバケットシートと違って、自分に合ったドライビングポジションを手に入れ易いのが好ましい。
スタートして500mも走ると、僕は思わずニヤリとしたい気分になった。エンジン、トランスミッション、ステアリング、サスペンション、ブレーキといったすべての要素が標準のV8ヴァンテージより一段と締まっている印象で、ドライバーの操作が正確にクルマの挙動に反映されて、実に気持ちいい。7段スポーツシフトはシングルクラッチだから、Dレンジでの自動シフトアップは若干ギクシャクするが、コラム固定式のマグネシューム製パドルを駆使してマニュアル操作してやれば、素早く歯切れのいいシフトが味わえる。エンジンはブリティッシュモノらしく中速からの鋭いピックアップが印象的だが、ここぞというときに全開をくれれば、7000rpmを超えるトップエンドまで上り詰めていく。
とはいえ、最も印象的なのはハンドリングだった。ステアリングは手応えと正確さを増していて、コーナー目指して切り込むとノーズの向きを素早く、狙ったとおりに変えてくれる。一方、コーナーからの脱出に際してスロットルを踏み込むと、リム幅、タイヤともワイド化された後輪ががっちりと路面を捉え、49:51の前後重量配分を生かしてLSDが確実に駆動力を蹴り出しながら、猛然たる勢いでコーナーを立ち上がっていく。乗り心地は特に低速では標準型より硬く感じられるが、それでも911GT3ほどハードではなく、しかもそれはスピードを上げるにつれてダンピングの効いた絶妙な乗り味に変わっていく。
高速ワインディングではロードスターも走らせたが、そのボディが緩い印象を与えることはなく、オープンエアの快感だけが上乗せされた、なんとも痛快なクルマだった。標準型よりも低い回転から爆音モードになる排気音も、その痛快さにひと役買っている。
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