X6試乗、ハイテクの塊!高速ではリッター10kmも
掲載 更新 carview! 文:萩原 秀輝/写真:中野 英幸
掲載 更新 carview! 文:萩原 秀輝/写真:中野 英幸
ただ、やはりアクセルを踏み続ける熱い気持ちを、最近の逆風が冷やしてしまう場面もありそうだ。だが、X6はアクセルに足を乗せる程度の踏み加減でも心地よい速域を保つことが可能だ。さらに、舞台が山岳路なら在り来たりのSUVでは想像さえできないような操縦性と安定性が確かめられる。なぜかといえば、X6には最先端のシャシー制御技術が満載されているからだ。
まず、速度によってステアリングのギア比を連続可変制御するアクティブ・ステアリングが威力を発揮。低中速域では速めのギア比を保つので、ステアリング操作に対して鋭い応答性を示す。特に、ヘアピンカーブのような低速コーナーでは、ボディの大きさを持て余すことなく身軽な足取りでクルッと向きを変える感覚が確かめられる。あまりにも応答性が鋭すぎるとクーペとはいえ車高が高いので危なっかしい印象になりかねないが、ダンパーの減衰力とスタビライザーの強さを連続可変制御するアダプティブ・ドライブを装備するので、ボディのムダな動きが抑えられている。そのため、4輪の踏ん張りを効かせながら路面にグッと腰を落としたような安定性を際立たせた姿勢でコーナーを駆け抜けることができる。
さらに、前後の駆動配分はxDriveにより、リアの左右の駆動配分は新開発のダイナミック・パフォーマンス・コントロールを連携させ最適な制御を実現している。メーターの間にある駆動力のモニターに視線を飛ばすと、アクセル操作やステアリング操作に合わせて目まぐるしく前後とリア左右の駆動配分の度合いが変化していることがわかる。たとえば、下り勾配のコーナーに高い速域で進入する際には安定性を損なう可能性がある。そんな場面では、右コーナーならリアの左側の駆動配分を大きめ(つまりエンジンブレーキを多めに効かせて)にして安定性を確保。……と思ったら、安定性の確保が済んだと見えて瞬時に右側に駆動配分(まだエンジンブレーキを効かせている)が移行。アクセルを踏み始めると、その瞬間に再び左側の駆動配分を大きめにして操縦性を向上させるといった制御が実施される。
※右コーナーの場合、右にブレーキをかければ曲がりやすく、左にブレーキをかければ曲がりにくくなる。車両安定制御を行わないと高速コーナー進入時には曲がりすぎることがあるが、X6はアクセルオフでも駆動配分できるため、左後輪の駆動配分を大きくして左にエンジンブレーキを利かせて(曲がりにくくして)安定させ、進入後は逆に右後輪の駆動配分を大きくして曲がりやすくすることが可能。
そうした技術の背景には、基本性能に対するBMWならではのこだわりがある。前後重量配分は、50.7:49.3とほとんど完ぺきなバランスを実現。それだけに、本格的なスポーツカーのつもりでコーナーを攻めても、ステアリング操作の通りにレールに乗って走るような正確な操縦性が実感できる。コーナーの立ち上がりで、強引にアクセルを踏み込むような操作をしない限り、狙った走行ラインを外すことはないはずだ。にもかかわらず、シャシー制御技術を含め違和感はまったくない。そこがまたX6の凄さであり、個別の機能を統合制御するインテグレーテッド・シャシー・マネージメントの効果といえる。
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