F12ベルリネッタで箱根へドライブ<前編>
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:菊池 貴之
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都内・代官山のTSUTAYA前の道で待つ僕のところに、Rosso Berlinettaなる微妙な色調の赤に塗られたフェラーリF12が現れたのは、6月下旬某日昼前のことだった。乗ってきたのはカービューの加藤拓人編集長。彼が興奮気味に語るには、「昨夜、横浜方面まで走りにいったんですが、このクルマ、メチャ速いっすよ!」とのこと。どうやらF12ベルリネッタの高性能を、けっこう本気で堪能したらしい。なにせF12、ラ フェラーリのような限定生産モデルを別にすれば、現行フェラーリのなかで最速の市販車なのである。
今度は僕が一人でドライバーズシートに収まって、いざ出撃。ステアリングホイールにある赤いボタンをプッシュすると、前方でフェラーリV12が即座に唸りを上げた。カーボン製の長いパドルを叩いてギアを1速に送り、最初はオートモードを選んでスロットルを軽く踏むと、F12ベルリネッタはウウウウーッと低く唸りながらゆっくり走り出した。
旧山手通りをタクシーやミニバンに混じって流していくが、リッター当たり118psのフェラーリV12は2000rpm以下から有効なトルクを捻り出して機嫌を損ねる素振りもなく、F1ギアボックスも適切にシフトを繰り返して、スムーズな低速走行を支えている。しかも、これもステアリングに備わるマネッティーノを標準的なSPORTにセットしておけば、路面の段差を超える際に20インチのパイロットスーパースポーツがコツコツというショックを伝えてはくるものの、意外やしなやかに動く脚はその高性能から想像するよりずっと快適な乗り心地を提供してくれる。やがて246に向けて左折し、池尻のインターから首都高に駆け上がる。向かうのはそう、スポーツカーの聖地、箱根である。
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