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ニュル7分台。アルファ ステルヴィオ クアドリフォリオのSUVとは思えぬ速さは買いか?

鋭いハンドリングにドイツ勢と異なる世界観がある

想像して欲しい。そんな刺激的でスポーティなモデルで、走行モードをダイナミック、さらにはレースモードにしたらどうなるのか? 先に言ってしまうとレースモードの美味しい領域は試せていない。一般道ではその限界性能や能力が高すぎて、凄さの極みは味わえないのだ。ニュル最速SUVは伊達じゃない。

それにハンドルが細めで、のんびり走っている際はどうしてもニュル最速とは程遠い、普通のクルマを運転している感覚を抱いてしまうので、アクセルを踏んだ際や旋回を始めた瞬間の豹変ぶりに常に驚かされる。演出として狙ってやっているのか定かではないが、劇でも見せられているような感覚で、新鮮であり、人間の感覚をうまく逆手にとっていると感心してしまう。

それでも限界特性は掴めずとも、レースモードを含め、ダイナミックモード以上にした瞬間に、このモデルの性能の片鱗には触れられる。そこで感じるのは、ドイツのハイパフォーマンスカーとは速さのつくりこみが違うことだ。ドイツ勢は重厚感を軸に速さを求めていくイメージがある。具体的には重さで車体やタイヤを押さえつけ、うねり路面に対して沈み込みむような足回りの動きでクルマを安定させ、安心してアクセルを踏み続けられることで速さを得る。

対してクアドリフォリオはレスポンス、軽快、俊敏が速さの軸になっている。勘違いしてもらいたくないが、ドイツ勢にだってレスポンス、軽快、俊敏はあるし、クアドリフォリオにも安定や安心はあるが、どちらを重視しているかというスタンスの話だ。また、路面からの入力に対して、クアドリフォリオは若干跳ねようとするところも、クルマ側でしっとりと入力を吸収しようとするドイツ勢と違う。

ハンドルを切ると曲がりすぎるほどクアドリフォリオはコーナー内側に俊敏に向かう。ドイツ車の感覚でハンドルを切ったら、内側の縁石に当たりそうなほどの鋭さで、演出的にも曲がるという感覚が強い。その俊敏さは乗り手にも繊細な操作を要求するが、思いの外ストレスにならないのも見事だ。なぜなら、全ての操作に対するレスポンスが良いということは、微細な操作にもリニアに反応するため、コントロールしやすいからだ。

これはエンジン特性も同じで、レッドゾーン開始の6500rpmまで淀みなく鋭く回り、しかも最高出力510psの発生回転数が6500rpmであることからも読みとれるが、回すほどに力がみなぎる。また、最大トルク発生回転数は2500rpmと、低回転に振り過ぎていないから、スポーツドライブ時のアクセル操作へのレスポンスや、高回転でも酸欠にならず、伸び感を得られていると推測できる。さらにスポーツモード以上だと、回転数が落ちそうな時にはバラバラとミスファイアリングシステムの排気音もする。制御の緻密さも使いレスポンス確保をしているのだろう。

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