2013GT-R試乗。雨天のコントロール性、向上
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
乗り易さを生み出すもうひとつの要因はエンジンだ。
カタログスペック的には、最大トルクも最大出力も変わっていない。増加したのは中回転域のトルクだ。
具体的には、ニュル24時間に参戦していたレースカーへのエンジン変更内容をそのまま採用。必要なときはターボの加給圧を高く維持してレスポンスを向上させ、走行時のエンジンオイルの動きを落ちつかせるエンジンオイルパン形状も採用、さらにエンジンマップの見直しにより中回転でのトルクアップを果たしている。
それは今まで3速だとかったるいけど、2速だと吹け上がり過ぎてしまう…そんな場面を3速のままストレス無く走れるようにするもので、速度コントロールが楽になり、結果として速いだけでなく、走り易さや扱い易さも向上した。エンジンの改良とロールセンターの改良、この2つの効果が相まって、2013モデルは気持ちよく楽しく雨の中を走れたというわけだ。
最後にひとつだけ気になったことを報告しておこう。それは乗り心地。好みによって判断が分かれそうだが、2013モデルは振動の収束が速くなり、スッキリとした乗り味になっているものの、大きなギャップでは鋭い突き上げがありやや不快に感じることがあった。乗り心地に関しては2012年モデル、もっと言えば、09年モデルの足を入れたボクの2007年モデルの方が上等だ。
こうした変化は、震災でそれまで使っていた路面の荒れた仙台ハイランドではなく、硬い足回りでも走れてしまう路面の綺麗な菅生サーキットで、一定の期間シャーシを煮詰めざるを得なかった、という背景もあるはず。しかし個人的には、これはこれで良かったのではないかとも思う。
なぜなら、最新モデルが最良であることは当然だが、GT-Rはどの年式も極上のチョッ速な性能を持っているので、例えば乗り心地重視で旧年式のモデルを選ぶという選択もアリだからだ。07年モデルから数えれば5年が経過したわけだが、改めてGT-Rの登場当初に水野さんが言っていた「GT-Rワールド」が具現化してきているとも感じた。
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