ダウンサイジング派も納得? 新型ムーヴ試乗
掲載 更新 carview! 文:石井 昌道/写真:小林 俊樹
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NAエンジンの最高出力は従来よりも6ps低くなっているが、さほど遅いとは感じない。約35kgの軽量化やCVTの制御の進化が功を奏しているのだろう。一方のターボ・エンジンはさすがに余裕がある。同じペースでも低いエンジン回転数で走れてしまうので実用燃費は意外といいのではないかと想像できる。それを考えるとターボにeco IDLEが用意されないのがつくづく残念だが、技術的に難しいものではなく開発の時間さえ許せば装着可能ということなので今後に期待したい。
シャシー性能は期待を上回っていた。NAモデルはサスペンションがソフトでスタビライザーも非装着なため相変わらずロールは大きめだが、従来のようにストンと早く沈み込んでしまう感覚が薄れて安心感が高まった。ステアリングを切ってからノーズが反応するまでのレスポンスも自然で動きの質が高くなったように感じる。ターボモデルはロールが少なくグッとスポーティだ。それでいて乗り心地も損なわれておらずバランスはいいのだが、太めのタイヤが発生するノイズが耳に付くことが気になる。
両モデルとも感心したのが高速道路での落ち着いた走りだ。ホイールベースが短くなっているにもかかわらずピッチングは巧く抑えられており、直進安定性もまずまず。一部のリッターカーなどよりリラックスして走れるぐらいだ。プラットフォームは新開発となっているが従来モデルをベースとしており、だからこそネガが潰されている。新型車なのに細部まで煮詰められているのだ。
新型ムーヴは低燃費を追求しただけではなく、乗用車として質が高まっているのが見どころ。飛び道具的な革新技術を使っているわけではないので大幅な進化を遂げたというほどではないが、熟成されており完成度が高い。これならダウンサイジング派も納得する仕上がりだろう。
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