空気が読めてるスマート クーペ&カブリオに試乗
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:荒川 雅臣(国内)、メルセデス・ベンツ日本(アメリカ)
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:荒川 雅臣(国内)、メルセデス・ベンツ日本(アメリカ)
実はスマートの発想は、70年代のメルセデス・ベンツの「2.5mカー」にまで遡れる。インフラに期待せずとも都市交通を変えるコミューターの可能性を、自動車の生みの親であるメルセデス・ベンツは古くから考えていたわけだ。そして最初の自動車を送り出してから111年後、70年代の発案から約30年後にスマートは産声を上げた。大げさに言えば、それは自動車の再定義に思える。なぜなら自らの発明は大きく豪華になり、問われ始めた環境や燃費を考えると“真逆の存在”がなければ自動車の存在が危うい…とは僕の想像だが、メルセデスがそれを考えないわけがない。
もっともそこまで話を大きくしたのは、2代目スマートに初めて接したのがアメリカのシリコンバレーで開催された試乗会だからで、僕はそこでひとつの確信を得たからでもある。シリコンバレーはコンピューターの聖地。試乗もグーグルやヤフーの本社前を通過するルートとされ、コーヒーブレイクはコンピューター・ミュージアムや、客のほぼ全員がラップトップを広げる有名なカフェだった。コンピューターの歴史は自動車より浅いが、世の中を変えたという意味では全く同じ。その聖地で自動車の再定義ともいえるスマートを走らせる……そこにはスマートの強い意志がありありと見えるし、2代目のサイズ拡大にも納得がいく。しかも今や世の中が変わる可能性は高く、実際にここアメリカでも販売が始まり、すでに約3万台以上を受注したという話も聞こえてきている。
シリコンバレーを走らせ、ふと横を見るとアップルがあった。僕は「そういうことか!」と直感した。ご存知アップルはそれまでの高価で大きなコンピューターをより手軽な価格で簡単に扱えるパーソナルなものに再定義して世の中を変えた。それはまさにスマートというブランドと同じじゃないか、と。そう考えると早過ぎる発明ゆえの名声やその後の危機など黎明期のドラマすら共通に思えるし、今やワクワクをも提供する点すら同じに思える。
今あるものを他と違う発想で再定義すると世の中は変わる…。スマートが用いる「オープン・ユア・マインド」という言葉の意味もそこにある。なるほど、だからスマートを時代が後から追いかけ続けているわけだ。
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