新型アクセラに試乗!ツボを押さえた正常進化
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:齋藤 正
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:齋藤 正
外観から受ける印象の通り、真っ当な正常進化を遂げていた新型アクセラ。ハイブリッドのような飛び道具があるわけではなく、目新しいところと言えばi-stopくらいのものだが、それでも結果として手元にある材料、使える要素をフルに使って他の日本車には無い独自の魅力をもったモデルに仕上げられている。
高らかに謳われているのは「走る歓び」。これしか出来ないんだからという開き直りも多分にあるのだろうが、しかし今の時代、ここを前面に打ち出す覚悟はクルマの出来にしっかり反映されている。まるで燃費のためにクルマがあるのかと思わせるようなクルマがもてはやされる中で、まずクルマ本来の歓びがあって、それを出来る限り高効率に楽しませようという新型アクセラのクルマづくりには、何だか新鮮な気すらしてしまった。「そもそもクルマって何のために乗るんだっけ?」 そのことを考えてみれば、クルマは本来はこうでなければと改めて思わせてくれる部分はある。ここはきちんと評価したい。
もちろん、インテリアのクオリティや設えの統一感、乗り心地等々、ここまで述べてきたように不満はいくつもある。特にパワートレインに関しては、走る歓びを謳うにしては物足りなさが募ることを否定しない。しかし、それも新型アクセラが何を指向しているのかが明確に伝わってくるからこその話。全身から思いが伝わるからこそもどかしいのである。
最初にも書いたが、正直言って試乗する前には、ハイブリッド車と同じような価格でかろうじてアイドリングストップが用意されるだけの新型アクセラに「一体どうやって戦うの?」という思いを抱いていた。しかしクルマで移動すること、走ることの楽しさに真摯に向き合ったその出来映えを知った後には、違った感情が芽生えてきた。こういうクルマ、あっていい。まさにマツダの存在価値が凝縮された1台と言える新型アクセラ。今後の進化・熟成に期待しつつ、前向きな気分で試乗を終えることができたということを報告したいと思う。
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