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魔法のハードトップ搭載 新型SLK・海外試乗!

SLSを意識した男らしいデザイン

ドライブフィールの報告に移る前に、もう少しだけキャラクターについて解説をしておきたい。新型SLKに対面して最初に目がいったのは“顔”だ。先代はSLRマクラーレンを彷彿とさせるF1風のスラントノーズが特徴だった。しかし、新型にその面影はまったくない。フロントフードを先端まで伸ばし、最後にバッサリ切り落とすことでスラント角をゼロに近づけている。その結果生まれたほぼ直立した開口部にスリーポインテッドスターと横バーをレイアウト。正面から見ると、まるで翼を拡げた単発プロペラ機のように見える。SLKを創りあげていく課程でデザイナーが「SLS」を意識したのは明らかだ。

新鮮でホットなSLSにあやかろうという狙いもさることながら、新型のデザインは入念なマーケットリサーチの結果でもある。先代SLKは女性オーナー比率が40%と、このクラスではもっとも高かったという。そういわれてみれば、SLRマクラーレン的でありながら、先代SLKにはどこか可愛らしい雰囲気が漂っていた。

もちろん、女性ユーザーに好かれるのは悪いことではない。ボディサイズ拡大を長さ幅とも約3cmにとどめたのは「コンパクトで扱いやすいサイズを好む女性ユーザーを意識した結果」だという。実際、BMW・Z4と比べると全長は約10cm短い。しかしその一方で、男性ユーザーからもより好かれるクルマにしたいという狙いがメルセデスにはあった。ワールドワイドで見た場合、先代SLKはこのセグメントでもっとも成功したモデルだが、女性に加え男性からの支持を集めることができれば、マーケットリーダーとしての地位をより確固たるものにできると考えたわけだ。

実際、新型SLKはかなり男っぽいクルマになった。僕自身、たとえば赤いボディカラーの先代SLKに乗るのは少々抵抗があったが、新型なら積極的に赤を選んでもいいなと思ったほど。これは間違いなくSLS譲りの迫力に満ちたデザインの恩恵である。メルセデスが「女性を意識した結果」と説明するコンパクトなボディサイズについても、日本では歓迎こそすれ不満に思う男性は少ないだろう。加えて、主要開発テーマのひとつに据えていた「インテリアの質感向上」が予想以上に大幅だったことも印象的だった。

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