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Fタイプ クーペ、ジャガー新時代の最終兵器

V8モデルはもはやモンスター級

その後に乗ったV8搭載の「Fタイプ R クーペ」はまたひと味違った。550psというクラストップレベルのパワーもそうだが、専用の電子デバイスチューンがキャラクターを変えている。言うなれば、もはや“モンスターマシン”であり、あり余るパワーがグイグイ顔を出す。V6でもけたたましいサウンドはさらにステージが上がり、空気を切り裂くエキゾーストノートが峠道に響き渡った。

と同時に、暴れ馬のような車体はしっかりジェントルにしつけられていて、ステアリングやアクセルワークを通してドライバーの意図を理解する。これは専用のアダプティブ・ダイナミクスが行うもので、最大一秒あたり500回のダンパー調整をする仕組みからも納得できる。ワインディング走行中、「ここで跳ねたら嫌だな」というところで、ピタッと振動を収めて車体を安定させてくれる場面がそうだ。

ではサーキットではなにを体感したかと言うと、ショートコースではトルクベクタリングを、本コースではカーボンセラミックブレーキをリアルに味わった。まぁ、トルクベクタリングに関してはすでにドイツ車にはかなりの確率で付いているのでそれほど新しさは感じない。ただ、タイトコーナーでのオーバーステアやアンダーステアを修正する能力は高かった。

カーボンセラミックブレーキはポルシェやフェラーリでお馴染みだが、こうしてサーキットで踏み込むとその信頼性はものすごく高い。ただし、あいかわらずオプショナルプライスも……高い。

といったFタイプクーペだが、特にRクーペに関してはポルシェターボあたりが競合になりそうだ。なので、ジャガーにとってこれまで必要のなかったパワー系装備が表面化してきたと考えられる。いやはやお見事。ジャガー新時代の最終兵器はこのクーペかもしれない。

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