ボルボS60海外試乗、姿も走りも大胆チェンジ
掲載 更新 carview! 文:萩原 秀輝/写真:ボルボ・カー・ジャパン
掲載 更新 carview! 文:萩原 秀輝/写真:ボルボ・カー・ジャパン
北米およびアジア仕様は、「コンフォートシャシー」が標準装備になるとのこと。その設定を確かめる機会はなかった。でも、ダイナミックシャシーのままでも乗り心地に不満は感じない。それどころか、確かにダイナミックな走りを実現していたが、新型S60は同時にプレミアム感が際立ってきたという印象の方が強く残っている。ボディ剛性の高さ、サスペンションの動きのスムーズさ、ステアリングの手応えの自然さなど、これまでのボルボでは少しばかり物足りなかった走りの質感の高さを獲得していたからだ。
しかも、アクセルを踏み込めばエンジンは快音を聞かせてくれるものの一定の速度を保てば優れた静粛性を発揮。ロードノイズや風きり音などの騒音も最小限に抑えられている。路面が荒れている箇所が少なくなかったポルトガルで、強めの振動を拾った場合にたとえそれをサスペンションで吸収しきれなくても、最後にはボルボならではの大きなサイズのシートが衝撃を遮断してくれる。シートは、体全体を包み込むようにフィットするので座り心地は快適そのものだ。ボディサイズは全長4628mmと大きすぎないけれど、室内スペースの広さには余裕があり大柄な男性が4名乗車してもくつろぎ感さえ得られる。ルーフからテールにかけてはクーペそのもののフォルムとなるのに、大柄な部類に入るレポーターが座っても後席の頭上スペースには天井との間に手のひらが入る余裕が残っていた。
最後に、新型S60の安全性についても触れておこう。ボルボらしく、最先端の技術を導入し世界初の「フルオートブレーキ付き歩行者検知システム」を採用。レーダーとカメラにより前方の歩行者を検知。ドライバーの反応が遅れると警告を発し、それでも間に合わない場合は自動的にフルブレーキが働く。ダミーを相手に試したところ、まさに急ブレーキ状態で停止。日本では対歩行者の事故が欧米よりも多いだけに特に有効な装備といえる。大切な家族を守るというイメージだけではなく、周囲の人にとっての安全も配慮したクルマがという新たなイメージをボルボは獲得したわけだ。
ちなみに、新型S60は来春に日本市場に導入される予定だ。導入モデルは未定となるものの、優れた経済性が期待できる1.6リッターの直噴ターボエンジン搭載モデルも加わりそうだ。また、アジア仕様だけではなくダイナミックシャシーを装備した欧州仕様の導入も期待したいところだ。
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