運転が上手くなる!? インプ最強のS206に試乗
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:中野 英幸
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そもそもSシリーズとは、ニュル24時間レースなどSTIの“レース参戦で得たノウハウが惜しげもなく注ぎ込まれた”究極のロードゴーイングカー。このような表現は他モデルでもカタログ等に記載されているが、STIの場合はレースカーも一般車も同じ開発者が仕上げる珍しい体勢を築いているので、前述した記述にウソ偽りない。
その究極のロードゴーイングカーに込められた想いは「運転が上手くなるクルマ」。これはSTIが手掛けるTuned by STIやtSシリーズさらにはRAモデル全てに共通するコンセプトで、その究極を求めたのがSモデルなのだ。
実は今回S206に試乗するまで、運転が上手くなるという概念を大きく勘違いしていた。と言うのも、今までSTIのクルマを試乗してきて、“すべての操作に素直にクルマが動く”という素直さを基軸に、運転技術が向上するクルマだと捉えていたのだが、そんな在りがちな目標ではなかった。表現が難しいが、ボクなりの言葉で言えば「運転が上手くなったかのようにクルマが走る」、そんな風に感じるものだった。
それを痛感したのが、節度感のあるフィーリングを持った6速MTで加速したとき。好みはあるものの半クラッチ領域の掴みやすさなどクラッチタッチも良好でスタートのしやすさに驚かされたが、その後、1速から2速に変速したときに鳥肌がたった。
かなりマニアックな視点になるが、ボクはMT車を運転するとき、変速の度に助手席同乗者の首がガクッと動くのが嫌い。これは加速している最中に、突然クラッチを切り加速が途切れるため起きるもの。だからこそ、クラッチを踏む前に一定速度で走るようにアクセル開度をコントロールしてから変速作業をするようにしている。そうすると同乗者の首は動かず、MT車でもAT車のようにスムーズに加速できる。
しかしS206では、そのような気を使った操作をちょっと意識するだけで、クラッチがスムーズに繋がる特性やアクセルを戻した際の電子スロットルの味付けが上手く、自然と同乗者に優しい変速が可能なのだ。そんな味付けのクルマに乗ったことがなく、そこに感動した旨を辰巳さんに伝えるとニヤッとしていたが、まさにこれが「運転が上手くなるクルマ」の真骨頂だ。
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