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世界初の9速AT、その実力はいかに?

世界初の9速AT、その実力はいかに?

ECOnnectは、プロペラシャフトの前後2カ所にクラッチを備え、2WD時に前後とも切り離してプロペラシャフトを完全に停止するパートタイム4WD機構。センターデフ、差動制限装置などの駆動力損失をなくし、240~270msで後輪トルク立ち上げる。

新4WD機構、「ECOnect」

最大の注目はなんといっても9速ATだが、脇を固めていた技術群もなかなかのものだった。件のモジュール化の一環として、4WDに対応するために後輪に動力を配分するトランスファーケースを用意する。さらに、この駆動伝達機構を開放することもできる新型4WD機構「ECOnect」も開発している。ちょっと面倒な話だが、プロペラシャフトの前後2カ所にクラッチを備えて、2WD時に前後とも切り離してプロペラシャフトを完全に停止するパートタイム4WD機構のことだ。センターデフ、差動制限装置などの駆動力損失をなくし、240~270msで後輪トルク立ち上げる。パートタイム4WDではあるが、必要に応じて機敏にトルクを立ち上げ、トルクの配分が不要と判断すると完全に後輪を切り離して引きずりによる損失を減らす。

テストコース内に限ってだが、試乗が許された。同乗したエンジニアが指差すモニターを見ると、多くのシーンでFFで走っている。しかし、ひとたび後輪が滑りだしそうな挙動の変化をセンサーが捉えると、まるで油圧が待機していたかのようにすばやくクラッチをつないで後輪にトルクを伝える。これで燃費性能も向上するなら、文句なしだ。

最後に、ZFが機械を得意とする会社だという先入観を払拭するソリューションが用意されていた。AC誘導モーターを内蔵したEV用フロントアクスルである。要は、これを購入してフロントアクスルごと交換すれば、あら、不思議! EVの出来上がり!! という究極のEVモジュール化の提案だ。搭載されるモーターは最高回転数2100rpmと聞くと、あまりの高回転数に驚くかもしれない。そう、ZF製EV用フロントアクスルの見どころは、AC誘導モーターを採用しているのが点なのだ。ZFではEV用モーターは将来的に高回転化するという考えに基づいて、小型かつ高回転型のAC誘導モーターを開発した。最適化の結果、アクスル上で最大90kW(連続30kW)/1400Nmを発揮しつつ、航続距離約6%も伸ばしたという。

この機構が搭載されていたのは、スズキ・スプラッシュ。エンジン(?)ルームをあけると、元々、これでもかというくらい狭いスペースにパワートレーンを詰め込んでいたようだ。ZFでは最低限の補強に留め、基本設計を大幅に変更することなく、このスペースに収まる460×325×253mm/43kgの超小型のパワーパックを作り上げた。さらに、ZF-ザックスを擁する企業として、カーボン複合材の足回りを組み合わせてバネ下荷重を下げて乗り心地の向上を施した進化版も持ち込んでいた。乗り比べてみると、面白いほど違いがわかる。バネ下の軽量化の重要性をあらためて思い知った。

ギアに端を発する会社だけに、業界をリードすべく9速ATの開発にかけた意気込みは並大抵のものではない。一方で、制御用ソフトのプログラムに加えて制御用コントロールユニットまでも内製し、今後さらに重要性が高まる電子制御の分野も手中に収めようとしている。EV用アクスルのような電動化時代のソシューションも、機械屋らしい設計の細やかさと足回りのZF-ザックスを擁する企業といった総合的な発想力にあふれている。よくクルマは総合力だというが、今回の取材を通して一つの部品がクルマの個性を支配してしまうほどの力があることも実感した。

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