シュワちゃんも所有した伝説的SUV「ハマー」の最新EVに乗ってみた。フェラーリをカモれる冗談みたいな性能とは?
掲載 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office 29
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アメ車と言えば…
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ここ数年、自動車に関わるもっともホットな話題は「EVの普及」そして「内燃機関搭載車の寿命」である。この流れは、まずヨーロッパで始まり、各国政府が温暖化ガス対策として2030年、あるいは35年とタイムリミットを設定している。
当然、自動車メーカーは従っており、特に自動車先進国であるドイツからは様々なメーカーがBEVをリリースしている。一方、BEV販売台数世界ナンバー1のテスラを擁するアメリカはというと、皮肉なことに電動化は遅々と進んでおらず、昨年のBEV販売台数はおよそ48万台、新車販売台数のわずか4%以下と、欧州各国と比較すると大きく遅れている。
しかし9月中旬に開催されたデトロイトショーにおけるバイデン大統領の7500ドル(およそ110万円)の購入補助金、あるいはカリフォルニア州での2035年以降におけるエンジン車販売の禁止などの飴と鞭政策で、徐々にEVへの関心は高まっている。
こうした流れの中、まずGMが2025年までに30モデルのEV導入を宣言してリーダーシップを取っていた。そこへフォードが一昨年、年間70万台のベストセラー・ピックアップトラック「F150」のEVバージョンとなる「F150 ライトニング」を発表したのだ。
ピックアップはアメリカでは一家に一台といわれる必需品で、ここで一気にEVへの火が付いた形になった。そしてGM傘下のGMCが今回紹介する「ハマーEV」を発売したのである。
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かつてハマーはマッチョなアーノルド・シュワルツェネッガーのマイカーとして名を馳せていたが、時代に乗り遅れた恐竜のように地上から姿を消していった。それが今回、電気エネルギーを得て再登場したわけである。
私の前に現れたハマーEV ピックアップは長さ5.5×幅2.2×高さ2.1mと、旧「ハマーH2」よりも一回り大きなボディをもち、GM製のET-1(スケートボード・タイプのEVプラットフォーム)上に構築され、GMの次世代型アルティウムバッテリーを搭載する。
外観はアプローチおよびデパーチャーアングルを確保するために切り詰められた前後の短いオーバーハングがハマーらしいシルエットを残す。巨大なメッキグリルに代わってレイアウトされている横長の「HUMMER」の文字が並ぶLEDライトによって厳つさは消え、スターウォーズに出てくる乗り物のようなSF的なフィニッシュにアメリカンデザインの良さが光っている。
インテリアはドライバーの正面に12.3インチのモニター、コンソール中央には13.4インチのタッチスクリーンがレイアウトされ、モニターの下にはアナログ式のタンブラースイッチが並んでいる。極端にメカニカルスイッチを減らしているテスラや最近の欧州系EVよりは操作系はフレンドリーだ。
フラットなフロアをもつキャビンは大人5名が余裕をもって移動するのに十分な広さで、インフィニティルーフと名付けられたワイドな透明なルーフによってキャビン全体がオープンドライブのように明るい。
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3基のモーターによる走りは豪快、痛快そのもので0-60マイル加速(ほぼ0-100km/h加速に相当)は3.3秒と、隣に並んだフェラーリをカモにすることも可能だ。スペック上の最大トルク(約1万5600Nm)は紙の上の計算の話だが、実際に路面に伝わるトルクにしても1085Nmの大台だ。
しかも、エアサスで車高をさらに15cm上げてイタリア製スポーツカーが怯んでしまうラフロードに突っ込めるだけでなく、岩で前方を塞がれたらドライブモードを「クラブウォーク(カニ歩きモード)」を選択すればよい。このシステムは前後の車輪を同相(平行)に10度ステアして対角線走行を可能にする。「メルセデス・ベンツ Gクラス」にもできない技である。また、オフロードパッケージで35インチタイヤ(※エディション1は標準)を履けば水深813mmの渡河も可能だ。
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問題は価格でベースモデルでも8万ドル(約1200万円)、テストした「エディション1」は軽く11万ドル(約1650万円)を超える。当面は北米市場専用で、輸出するかどうかはまだ決まっていないようだ。
北米では人気の高いピックアップセグメントに、「リヴィアン R1T」や「フォード F150ライトニング」などの販売がすでに始まっており、さらにはテスラの「サイバートラック」も控えている。しかしそのすべてがオーバーサイズで、果たして「大きいことは良い事!」というアメリカンな考え方が本質的な地球温暖化やレアアースで問題になっている省資源化にどれほど貢献するか大いなる疑問である。
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ボディサイズ=全長5507×全幅2201×全高2055mm
ホイールベース=3445mm
車両重量=4,111kg
プラットフォーム:BT-1(フルサイズ・トラック用「T1」の進化型)
最高出力:1000ps
最大トルク: 1万5600Nm
搭載電池容量:212.7kWh
搭載電地重量:約1326kg
電気システム:800V
航続距離:約560km
消費電力:40kWh/100km
サスペンション(F/R):未公開
渡河性能:813mm
0-60mph:3秒
回転直径:13.5~11.3m
価格: 11万2595ドル(エディション1、約1700万円)
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