新7シリーズ海外試乗 その走りは変わったか?
掲載 更新 carview! 文:佐藤 久実/写真:BMWジャパン
掲載 更新 carview! 文:佐藤 久実/写真:BMWジャパン
そして、同日の夜、ホテルとプレスカンファレンス&ディナー会場の往復には、新型の5代目7シリーズのショーファーが用意されていた。ショーファードリブンで新旧の違いを体感させるなんて、なかなか粋な計らいだ。と同時に、自信の表れでもあるのだろう。
新型のリヤシートは、タイヤの存在を感じさせないほど滑らかな乗り心地であり、十分と思えた4代目からも明らかな進化が見られた。石畳の路面さえ滑るように走る7シリーズの車窓からドレスデンの古い町並みを眺めつつ、束の間、リュクスな気分を満喫した。そして、常日頃はスポーティイメージの強いBMWだが、改めて、7シリーズが「ラグジュアリーサルーン」であることを実感した。
一方、ドライバーズカーとしての実力も侮れない。試乗した750Liは300kW/600Nmというパワースペックでありながら、市街地走行ではけっしてそのパワーを誇示することなく、むしろマナーの良さに感心した。それでいて、アクセルを踏み込むと高回転まで気持ちよく吹け上がる。高速をハイスピードで走ったときのフラットかつ優雅な走りはまさに7シリーズの真骨頂といえる。
ラグジュアリーかつスポーティな高級サルーンカーとして進化を遂げた7シリーズ。しかし、今の時代、「環境性能」抜きにはクルマは語れない。特に大きなサイズの高級車は一般的に環境負荷も大きいと思われがちなだけに。一方、必要とする多くのユーザーがいてマーケットがある限りメーカーはクルマを作る。では、どう折り合いをつけるのか。
7シリーズお披露目の際にも、生産の段階からいかに環境に配慮し、CO2排出量削減に注力したかという点を強くアピールしていた。
走る歓びを最少のエネルギーで追求する、それがBMWの「エフィシェント・ダイナミクス」だ。軽量素材、空力、そしてエンジン効率の最適化といった手法により具現化している。750Liのボディにはアルミやアルミ・ダイカストなどの軽量素材が使われる。そして搭載されるV8エンジンは直噴ツインターボ技術により大幅なパワーアップを図りながらも燃費は向上。また、今回試乗の機会は得られなかったが740iはV8から直6へとダウンサイジングしている。それ以外にも、例えば回生ブレーキにより電装品用のバッテリーを充電できるインテリジェント・エネルギー・フロー・マネージメントを行うなど、随所に効率化を図る制御が取り入れられている。
個人のモビリティ、そして「駆け抜ける歓び」を実現するために内燃機関への強いこだわりを持つBMW。新型7シリーズは、そのメッセージを体感できるモデルである。
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