新型Gクラスが発表された今、あえて現行型のシーラカンス的魅力に触れた
掲載 更新 carview! 写真:篠原 晃一
掲載 更新 carview! 写真:篠原 晃一
今年1月のデトロイトオートショーで、メルセデス・ベンツは本格オフロードモデルの「Gクラス」をフルモデルチェンジしました。39年間、基本的なデザインはそのままというメルセデス乗用車史で最長のモデルライフの後に登場したオールニューの後継モデルが、現行型と一見、見分けがつかない驚きのキープコンセプト・デザインで登場したのは、ご存知の通りであります。編集部ではこれを期に、現行型「G350d」(1080万円)を借り出してみました。
・・・改めて目の当たりにすると、平面と直線で組み上げられたミリタリーデザインは、現代にあって唯一無二と言いたくなる押し出しがあります。都会で女性がアシにしているシーンも見かけるわけですが、ハズシが効いているうえにメルセデスの王道感も手伝って、ライフスタイルの演出アイテムとしては確かに強力。ガチャッという硬質な音を立てるドアを閉じて乗り込むと、中は広くはないものの、四角い車窓から見えるケラレのない景色が新鮮です。
Gクラス初体験の部員によると、見るからにゴツくて運転しにくそうと想像していたのに、意外に見切りが良く、狭い道でも取り回しが楽とのこと。最小回転半径は6.2mと小さくないのに、ハンドルが思いのほか切れる感覚があるかもです。もっとも今では絶滅種となったボール循環式のステアリングは重めのねっとりしたフィールを伝え(新型では一般的なラック&ピニオンに変更)、カーブの入口&出口で早めにハンドルを操作してあげる必要があるところなど、近所の買い物程度でも運転してる感は濃厚です。
とはいえ、総じて乗りこなしは予想よりイージーで、腕に自信が無くても大丈夫というのが部員全員の感想。コクピットは現代的にアップデートされているし、3.0L V6ディーゼルターボを搭載する350dでも600Nmの巨大トルクを発生するため、発進や加速でちょっとしたスポーツカーを置き去りにするのも朝飯前です。
本格オフロード出身のラダーフレーム構造は余裕の頑丈さを伝え、現代のモノコックには出せない乗り心地を提供するのも非日常。一般道や高速道路も悪くありませんが、起伏の大きなフィールドやスタックしそうな砂地では、2.5トン以上ある重量級ボディで凹凸を均すように突き進む安定感にニヤけます。ローギアモードを選択して、自慢の駆動システムとして新型にも受け継がれた、フロント/センター/リアすべてのデフをロックできる3つのボタンを駆使すれば、さらなる別世界が開けるわけですね。
とはいえ、500kmを超えるようなグランドツーリングや、道無き荒野を走りたくなるクルマかというと、それも少し違うのかも。都会で日常の足に使いつつ、持て余すほどのスペックやヘビーデューティーな立て付けから滲み出る非日常に手軽に浸れてしまうところにこそ、多くのオーナーが望むGクラスの本領がある気もします。そして最新のテクノロジーやデザインだけでは実現できないこのカルト的な魅力を失わないためには、メルセデスをもってしても、新型をキープコンセプトにせざるを得なかったということでしょうか。外観とは裏腹に、(たぶん)圧倒的に進化しているだろう新型Gクラスの試乗インプレッションも楽しみになってきました。
次のページ>>スペック
ログインしてコメントを書く
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
「えっ、ネズミ捕り?」 関西の国道に“偽警察官&偽パトカー“現る!? 思わずスピード落とす「謎のスポット」とは
5月は自動車税シーズン!そういえば電動キックボードにも税金がかかるのか?
三菱自動車、50周年記念ツアーを9月英国開催…1974年以降の歴代50台が参加
「カムリ」がなくても日本にはレクサス『ES』がある!次期型はブランド初のEVセダンに
長年の蜜月にピリオドか。レプソル、ホンダMotoGPとのスポンサー契約を今季限りで終了へ
マツダ新型「“小さな”高級車」はどうなる? まさかの「トヨタOEM」化も!? 次期「マツダ2」にモデルチェンジはあるのか
BMW Motorrad「R20コンセプト」 ビッグボクサーエンジン搭載のロードスターモデルを公開
ランチア『イプシロン』新型がヒストリックレースのペースカーに… 「ミッレミリア」は6月開催へ
グリップが大切なレース用タイヤは溝なしのツルツル! だったら市販車のタイヤの溝は何で必要?
12気筒の代わりはまかせろ!──新型ベントレーコンチネンタルGT試乗記
日本におけるコーンズのベントレービジネス60周年を記念したベントレー3モデルの特別限定車「コーンズ60thエディション」が登場
トラック依存が高い北海道の物流問題、解決のカギは「異業種」の共同輸送
活気を取り戻すイタリア車。名門「ランチア」の“懐かし系”ニューモデルたちは日本に入ってくるか?
【さよならフィアット500】ついにエンジン車が終了宣言。まだ買える500のグレードまとめ
【566万円から】アウディA4&A5スポーツバックに特別仕様車「マイスターシュトュック」新設定
【ビンボー臭さゼロ】なVW製新型キャンパーの“デザイナーズ感”。日本メーカーも出してほしい
【買えないアルヴェル】横目に“500万円安+6人”で売れるレクサス「LM」が気にする兄弟の動向
【WRX S4ではありません!?】スバルが公開した謎の4ドアセダンの正体とは?【S耐富士24hレース】
【マツダが明言】本当だった次期「CX-5」計画! ハイブリッドはTHSのマツダチューン版が濃厚
キッカケは豊田会長の「走ってみない?」。マッチがS耐でレーサーに復帰したワケ【S耐富士24hレース】
【199万円!】大人気プチバン「シエンタ」の最安グレード“ガソリンのX”はアリかナシか?