価格差90万円も実質ゼロ!? プリウスPHEVとHEVの違い&購入時に注意したい点
掲載 carview! 文:ピーコックブルー/写真:トヨタ自動車 86
掲載 carview! 文:ピーコックブルー/写真:トヨタ自動車 86
2023年3月、トヨタは新型「プリウス」のプラグインハイブリッド車(PHEV)を発売しました。すでに発売を開始していたハイブリッド車(HEV)と合わせて、5代目となる新型プリウスシリーズのラインナップがすべて出そろったことになります。
3代目と4代目はノーマルのプリウスとは別モデルとして「プリウスPHV」の名が与えられていましたが、新型プリウスPHEVは、プリウスの1グレードとして、これまでよりもスポーティさを強調したモデルへと進化を遂げています。
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新型プリウスPHEVに搭載されるのは、最新の第5世代ハイブリッドシステムをベースに、コンパクトかつ大容量な駆動用バッテリーとモーターを組み合わせた新開発の2.0Lプラグインハイブリッドシステムです。システム最高出力は先代のおよそ2倍となる223PSを発揮し、0-100km/h加速は6.7秒とスポーツカーの「GR86」(6.3秒)に肉薄します。
このことからもわかるとおり、新型プリウスPHEVは、新型プリウスにおけるハイパフォーマンス仕様という位置づけです。
もちろん、従来と同等以上の環境性能を兼ね備えている点にも注目です。WLTCモード燃費は、標準装備となる19インチタイヤ装着車で26.0km/L、メーカーオプションの17インチタイヤ装着車では30.1km/Lを記録しているほか、EV走行距離も前者が87km、後者が105kmと日常生活はほぼEV走行でまかなえるレベルとなっています。
また、「ソーラー発電システム」やバッテリーに貯めた電力を外部に給電できる「EV給電モード」、そして停電や災害などの非常時にクルマを電源として活用できる「HEV給電モード」などが設定されており、レジャーやアウトドアはもちろん、災害時にも活用することが可能です。
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基本的な装備のほとんどは、新型プリウス(HEV)の最上級グレードである「Z」と共通している新型プリウスPHEVですが、HEVの「Z」とは異なる部分もいくつか見られます。
まず、最も大きな違いはHEVでは設定されている4WD仕様が、PHEVでは設定されていません。これは、PHEVはより大型のバッテリーやモーターを搭載する必要があることから、4WDシステムを搭載するスペースの確保が難しいことが理由と思われます。
その一方で、先代ではラゲッジルームに搭載されていたバッテリーは、新型プリウスPHEVではリアシート下部へと移動しています。重量物であるバッテリーの位置をより低く、より車体の中心に配置することで、走行性能の向上を図っているほか、必要十分なラゲッジルーム容量を確保しています。
細かな点で言えば、PHEVではヘッドランプレベリングがオートになったり、リヤコンビネーションランプがグレースモークになったりといった違いが見られます。また、「トヨタセーフティセンス」に含まれる「オートマチックハイビーム」が、PHEVではより高機能な「アダプティブハイビームシステム」となっています。
エクステリアでは、切削光輝+ブラックのアルミホイールや金属調シルバー塗装のフロントロアグリルなどがPHEV専用装備です。
インテリアでは大きな違いが見られませんが、PHEVでは12.3インチの「ディスプレイオーディオ Plus」が標準装備となっているのに対し、HEVでは同じ12.3インチではあるものの一部機能が制限された通常の「ディスプレイオーディオ」が標準装備となっています。ただし、6万1600円のメーカーオプションを選択することで、HEVでも「ディスプレイオーディオ Plus」を装着することが可能です。
そのほか、PHEVではレッドのステアリングホイールステッチを選択できたり、アナダイズドレッド加飾のシフトノブが用意されている点などが主な違いです。
購入時における両車の違いを見てみましょう。
新型プリウスPHEVの車両価格は460万円です。基本的な装備はほぼ標準で装着されていることから、基本的にはこの金額で十分満足できると思われます。
対するHEVの「Z」は、2WD仕様が370万円、4WD仕様が392万円となっています。PHEVには4WD仕様が存在しないため、2WD仕様同士で比較するとその価格差は90万円となります。
一方、PHEVでは、いわゆる「国の補助金」であるCEV補助金を受けることができ、その金額は55万円(2023年度)にもなります。これに加えて、上述した装備差を考慮すると、実質的な価格差は20万円程度になると考えられます。自治体によってはさらなる補助金を得られる可能性もあるため、場合によっては両者の価格差がほとんどゼロになる可能性もあります。
また、納期を見ると、PHEVはおよそ1年であるのに対し、HEVの「Z」は2年にもおよびます。昨今の現状を考えるとある程度はやむを得ない部分もありますが、実用車であるプリウスにとって1年の納期の差は大きな要素と言えそうです。
ただ、新型プリウスPHEVは急速充電に対応していないため、自宅への充電設備設置が事実上必要不可欠であることには注意が必要です。戸建てであれば大きな問題はないかもしれませんが、マンションなどに住んでいる場合など、充電設備の設置が難しい場合は、そもそもPHEVは候補から外れてしまうかもしれません。
新型プリウスのPHEVとHEVを比較検討する際には、単純なスペックや装備、価格の比較ではなく、クルマの利用環境も含めて広い視点から考えることが重要です。
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